デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【都合のいい解釈は命取り】実録・山陽道やくざ戦争 手打ち破り【日本語って難しい】

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昭和53年7月11日。冒頭いきなりベラミ事件。

二代目梅山組系新日本義勇団幹部・鳴戸剛(松田組系村田組大日本正義団幹部・鳴海清)が事もあろうに三代目山王会(三代目山口組)のてっぺんを弾く掟破りの大暴挙。

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激怒りした山王会若頭谷健組組長・谷岡健三(山口組若頭・山本健一)の陣頭指揮による一大報復戦「大阪戦争」勃発。

★ベラミ事件の詳細はこちから。

 

この人の命が一山幾ら、使ったお金が間欠泉という大消耗戦がようやく終結して僅か1年後の昭和55年1月10日。

岡山県津山市で、三代目山王会武田組幹部 津山支部支部長・小原義満(三代目山口組竹中組系杉本組組員・小椋義政)と三代目山王会直参丸石一家内木島組組員・三杉信治(小西一家系小島組組員・水杉義治)が、二代目貴山会系吉良組津山支部組員・高岡紀夫(木下会系平岡組組員・片岡一良)とその兄弟分・角田真樹夫(池元幸男)に射殺される事件が。(所謂「津山事件」)。

ここに再び一触即発の抗争が幕を。

「実録・山陽道やくざ戦争 手打ち破り」(2001年/酒井信行監督)

いやあ、毎回言っておりますが、どうして実録ものの説明をしようとすると漢字まみれになってしまうのでしょう。

もうレビューを書いているのか写経をしているのか分かりません。

事の経緯を分かりやすく整理しておきますと、

武田組の瞬間核融合炉・小原(武蔵拳)がちょいとやんちゃして短いお勤め。シャバに戻って来たら自分の女が対立組織吉良組の若いのに寝取られておりました。

で、この若いのが、親同士が決めた仕事の線引き破って、勝手に競馬のノミ行為をしている事が分かったので復讐かたがた吉良組津山支部に乗り込んで幹部の中本を執拗に恐喝(この事が本家に知れたら山王会との全面抗争になる。黙ってて欲しかったら金持って来い)。

あまりのしつこさに事の原因となった若いのが兄弟分と二人で小原弾いて血の池地獄

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困ったのは吉良組…ではなく山王会。

速攻「報復(かえし)」に出たいところですが、大阪戦争の二の舞は御免。なんとか手打ちに持ち込もうとしますが、そんな話に乗れるかよ!と殺る気満々なのが武田組組長・武田力也(三代目山口組若頭補佐・竹中正久)。

「実録史上最大の抗争 義絶状」では清水健太郎が演っておりましたが、今回は大沢樹生

いささか貫禄不足ではありますが、そこは目を瞑りましょう。

何とか穏便に事を収めたい執行部は重鎮である三代目山王会舎弟宮会会長・宮禎之(山口組舎弟湊組組長・湊芳治)を引っ張り出して武田を説得。

しぶしぶ宮の顔を立てた武田は吉良組の親筋に当たる関西親睦会加盟・二代目貴山会会長・神山裕樹(二代目木下会会長・高山雅裕)と手打ち。

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神山は「吉良組組長指詰め」「見舞金たんまり」「シマ明け渡し」「関係者全員絶縁」という全面降伏案を提示。丸く収まるかに見えましたが…。

ここで宮が見せた余計な義侠心が惨劇第2ラウンドの引き金に。

宮の提案は「何も関係者全員絶縁にしなくても良いのでは」

武田の理解は「絶縁にしない」=「破門で手を打つ」でしたが、

神山の理解は「絶縁にしない」=「お咎めなし」。

いやあ、日本語って本当に難しいですね。

結果、関係者野放しな状況にぶっ千切れた武田(の手の者)が、5月13日に神山裕樹を襲撃、銃殺(所謂「姫路事件」)。

手打ち破り・武田の蛮行は業界を震撼させ、良くも悪しくもその名を轟かす事件となりました。

★その後の武田の生き様死に様はこちらから。

 

 

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