森(というか雑木林)に開いた直径2m、深さ2mほどの小さな穴。底には泥水。
落とし穴でも水溜りでもありません。
神です。穴神様です。
「ザ・サスペリア 生贄村の惨劇」
(2013年/チャド・クロウフォード・キンクル監督)
オカルトものか、猟奇推理ものか分からない邦題ですが、どちらでもありません。
勿論、サスペリアとは縁もゆかりも。ただ、穴の由来を絵本で語る冒頭はアルジェントっぽいと言えなくもありません。
アメリカのどこぞの田舎町…から更に離れた森の村。
“穴神信仰”という独自の信仰と戒律に支配されたケージャンとアーミッシュを足して割ったような少数集落(密造酒やジュースを町の雑貨屋に卸して収入源としている)。
穴神様の水を浴びると病気が治癒するが、定期的に生贄を捧げる必要が。
次の生贄を指名するのは壷。トランス状態になった村の陶芸家が焼く壷に次の生贄の顔が描かれているという(原題:JUG FACE。水差しの顔。雰囲気出すなら“人面壷”)。
結婚は親同士が決め“結合”と呼ばれ、女はその日まで処女でなければなりません。
エイダはまだ初潮も来ない歳ですが、兄とデキております。ある日、兄と一発ヤッて家に戻ると両親が『お前の結合相手が決まったぞ。今夜はパーティだ』。
相手は冴えないおデブちゃん。え、マジ?
パーティのお誘いに陶芸家の所に行って、焼きたて壷を覗き見したら、そこには自分の顔が…。
あんなのと結合とかしたくねーってかもう処女じゃないからバレたらヤバイ、しかも相手兄だし…うわ!妊娠してんじゃん!って次の生贄あたしかよ!
不幸の表面張力、絶望の満漢全席。どうするあたし?
エイダの母親役にショーン・ヤング。時の流れは恐ろしい。
このポーズ、絶対わざとだと思います。
過去の生贄が穴神様の代理人のようなメッセンジャー兼アドバイザーとして登場するのは「ペット・セメタリー」を思わせます。
左:ペット・セメタリー
本作、B級映画特有のオチとかドンデン返しとか終わったと見せかけて一発カマす的なコケ脅しがありません。
淡々と終わって寂寞感すら漂わせるエンディングに物足りなさを感じる人も多いようですが、1周回って新鮮でした。
★ご参考
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