憧憬と嫌悪、拒絶と賛美。東京が何ぼのもんじゃ。いつか必ず認めさせてやる。
田舎怨念物語。
「血を吸う粘土」(2017年/梅沢壮一監督)
とある田舎の美術予備校。生徒数人、先生一人。元は陶芸家のアトリエだったというプレハブ小屋で平面・立体の課題に明け暮れる日々。
こんな狭い世界で実力が付くのか。東京の予備校に出張した子は目から鱗が落ちて戻ってきた。
焦燥。嫉妬。
アトリエ近くの地中に埋められていた箱。中にはビニール袋に詰められた粘土。すっかり乾ききった土に生徒のひとりが霧吹きシュー。
それは東京に焦がれ、果たせず死んだ陶芸家の血を練り込んだ呪いの粘土。
はじめまして、ボク、カカメです。
粘土(で出来た人形)が人間を襲う描写は不気味で滑稽で笑っていいのかビビっていいのか判断に困ります(西村さんっぽい造型だなぁと思ったら、プロデューサーの中に西村喜廣の名前がありました)。
見所は東京に対する田舎の怨念。
特に先生役の黒沢あすかさん↓が素晴らしい。
かつて東京の美大予備校で若い女に男盗られて逃げるように田舎に引っ込んできた女。時にヒステリックにわめきたてる屈折具合が実に良い感じです(「六月の蛇」から15年かぁ。←遠い目)。
生徒たち(男子生徒除く)を演っているのはアイドルさん(全然知らない)らしいのですが、軒並み「容姿:並」「演技:素人」。これがいい感じにリアル。
なし崩し&無理矢理に風呂敷を広げたエピローグ(ちょっと「へんげ」っぽい)は「おいおい」でしたが嫌いではありません。
★ご参考
バリアフリーホラー? へんげ[2017年5月6日]
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