『彼らは替え玉を揃えていた。4人はいただろう。ワルキューレ作戦を知ってるか? あれは成功した。ナンバー2が死んだよ。最後に残った男は臆病者の女たらしだった。地下壕で自殺した』
カルバン・バー(サム・エリオット)。アメリカの片田舎で逼塞している独居老人。
犬の散歩以外は、バーで独り酒を飲むくらいしかする事もない。
心は若き日に彼女と出会った追憶の中。
プロポーズをするはずだった。
時は第二次世界大戦。政府の命を受けてドイツに入り、情報をかき集め、獲物を追い、そして…
この手でヒトラーを暗殺した。
「ヒトラーを殺し、その後ビッグフットを殺した男」
(2018年/ロバート・D・チコフスキ監督)
タイトル見て直感。「絶対大馬鹿野郎映画だこれは!」
ところが見始めた途端に大懺悔。
何と真っすぐな、真摯と矜持の佃煮映画ではありませんか。
確かに設定はトンデモ。ヒトラーは殺るし、ビッグフットも殺る。看板に偽りはありません。
しかし、作りが本気。宮大工があばら家に擬態した忍者屋敷を作った感じ…って嗚呼書いてて意味不明だ。
無気力な老人の生活(しかしカツアゲに来たチンピラ3人を瞬時に這いつくばらせる力はある)と彼女に出会った頃の輝きに満ちた日々。
まるで「幸せなひとりぼっち」や「思秋期」と同じ箱。
そして決して口外できない極秘作戦の回想。
入口で武器を全て預け、丸腰の状態で前線基地に入ったバーは持っていたライター、ペンを組み合わせ…ってまさかの黄金銃リスペクト!
最後にスキットルがサイレンサーに!
しかし結局は一人歩きを始めた怪物の思想を止めることは出来ず…。
栄誉ではない。人をひとり殺した、ただそれだけの事。
そんなバーの元に意外な訪問者。
合衆国とカナダの要人。彼らが持ってきたある依頼、それは…
カナダで病原菌をまき散らしているビッグフットを仕留めて欲しい。
は…?
サム・エリオット、推定74歳がランボー、いやダッチ・シェイファーになって大自然の中を駆ける。
バーが選んだ得物はスプリングフィールドM1903A3
冗談だと思っていた設定が全部マジ(笑)。
原題もまんま「THE MAN WHO KILLED HITLER AND THEN THE BIGFOOT」。
エンドクレジットには「エグゼクティブ・プロデューサー」としてジョン・セイルズとダグラス・トランブルの名前がありました。
★特集:頑固爺頑選手権
★ついでにサム・エリオットの全裸が拝めるこの作品も。
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★本日6月1日はモーガン・フリーマン(1937~)の誕生日(おめでとうございます!)
頑固爺選手権に混ぜるかどうか悩みましたが、今回は別枠でプロフィールとしては地味目なこの2本を。
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追悼:若山弦蔵
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俳優・声優の若山弦蔵先生がお亡くなりになっていました。
5月18日(公表は5月31日)。心不全。88歳。
若山先生と言えばショーン・コネリーですが、今回はヴィック・モローをアテたこの作品を。