デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

恐怖と愉悦を引き継ぐ美しき相続人。 レガシー

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面白いか?と問われれば「うーむ」なのですが、味わい深いか?と問われれば即答でYES!

70年代滑り込みなファッショナブル・ホラー。もしルーカスが「針の眼」ではなくこっちを観ていたら「帝国の逆襲」のオファーは出さなかったでしょう(笑)。

 

「レガシー[まさかのBlu-ray発売!]」

(1979年/リチャード・マーカンド監督)


どこの誰とも分からぬ英国人から多額の前金を振り込まれた建築デザイナー(キャサリン・ロス)。

訝しがる恋人(サム・エリオット)を急き立てて観光方々ブリテンへ。

英国をバイクで旅するとロクな事が無いのは「悪魔の墓場」で実証済み。

あわや車と接触事故。ハンドル切って道を逸れたバイクはお約束で故障。車の主である大富豪のお誘いで二人は豪奢なお屋敷に。

トラブルに見舞われたカップルがお屋敷に案内されると更にロクな事が無いというのも「ロッキー・ホラー・ショー」で実証済み。

と思ったらお屋敷の招待客の中にチャールズ・グレイ(「ロッキー・ホラー・ショー」でステップの説明「まずは左へジャンプ!」をしてくれた謎の学者)がいるじゃありませんか。

ゲストの中にはミュージシャン役でザ・フーのボーカル、ロジャー・ダルトリー(「Tommy/トミー」だ)も。何気に豪華。

ゲストはキャサリン・ロスを含めて6名(サムも入れると7名)。

姿あらわさぬホスト、怪しすぎる執事とメイドと運転手。

そしてひとりずつ謎の死を遂げるゲストたち。彼らが集められた目的は? ホストの正体は?

と書くと物々しいですが、全体的に予定調和で意外な事は何もありません。

殺しの技も特に意表を衝くものはないのですが、何故か妙に印象に残ります。

プールの水面に見えない結界のようにものが出来、水中に閉じ込められて溺死してしまう水泳選手とか(写真下)、食べてもいないチキンの骨が喉に刺さり、メイドに気管切開されて死んでしまうミュージシャンとか。

サスペリア」の影響が多分にあるように思いますが、ハーレクイン・ロマンスのような爽やか系音楽と地味で枯れた(ある意味、実に英国調な)映像はオカルトっぽくなくて“いい感じ”。

恐怖の遺産を継ぐのは誰か。

キャサリン好き、家モノ好き、猫好きの方は必見です。

しかし、まさかサービス・ヌード担当がサム・エリオットだったとはなぁ。ここだけは意外だった(写真2段目)。