『違うわ。ここはニューハンプシャーよ』
『何を言っている? ここはオクラホマシティーとサウスダコタの中間だ』
各々の事情で森(と言うか広がりたいだけ広がっている雑木林)で迷い、主の無いキャビン(と言うか掘っ立て小屋)にたどり着いた3人の男女。
彼らの間には状況の認識に対する微妙なズレが…。
「トランス・ワールド」
(2011年/ジャック・ヘラー監督)
原題は「Enter Nowhere」。“どこにも入るな”って感じでしょうか。
最初に登場するサマンサが小屋の先客であるトムと出会い…という冒頭部分では話の先が全く読めません。
実はトムがヤバイ奴というサイコ・サスペンスなのか、小屋が呪われているというキャビン・ホラーなのか。
果たして実態は…。
昔なら、リチャード・マシスンやロッド・サーリングが好んで書いていたであろう題材、要するに現代版「トワイライト・ゾーン」の一編でした。
話が転がりだすまでは、作品ジャンルすら分からないので、ちぃっとイラつくかもしれませんが、本題に入った途端、俄かに面白くなってきます。
ここから先は何を言ってもネタバレになるので割愛しますが、超低予算(推定50万ドル。出演者は一瞬しか映らない夢の中の人影まで含めて8人)という与件をアイデアで押し切った佳作です。
ただ90分引っ張るのはちょっとキツいかも。テレビの60分枠に収まるくらいのボリュームだったら傑作の部類に入ったかもしれません。
トム役のスコット・イーストウッドはクリント御子息。他にサラ・パクストン、キャサリン・ウォーターストーン(サム・ウォーターストーン娘)。
カーク・ダグラス息子とヘンリー・フォンダ娘が競演した「チャイナ・シンドローム」みたいなものでしょうか(…チガウ)。
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