デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【穴しかない脚本を】バイオ・インフェクション【勢いで誤魔化す71分】

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いやあ、久しぶりに穴だらけ、いや、穴しかない脚本に出会いました。

ひとつの穴がデカすぎて、パッと見、それが穴なのかどうかも判然としません。

平地だと思って歩いていたけど、カメラが引いたら巨大なクレーターの中だった、みたいな感じ。

僥倖と言っていいでしょう。

「バイオ・インフェクション」
(2014年/トム・レイコヴ監督)

 

カナダの太平洋側北西部に位置する無人島(アーチャー島)に内容も明らかにされないまま投入されたコマンド部隊(第77特殊支援部隊)。

島内捜索中にひとりが発熱・発狂して仲間急襲。

噛まれた兵士も狂って部隊内殺戮戦。

実は対中東用に開発された化学兵器の生体実験なのでした(「28日後」のレイジウィルスみたいなものだと思ってください)。

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ただひとり生還したパクストン中尉(ダグラス・チャップマン)は部隊を殲滅させた黒幕に復讐するため、再び悪魔の島へ。

押さえておいた小型機がよく分からん理由で使えなくなったので、民間ツアー機に同乗、途中下車(低空飛行から飛び降りとか)するつもりだったようですが、パクストンの鞄の中の銃を見た正義マンが取り押さえようとしてきたので争っているうちに銃が暴発、パイロットの後頭部にヒットして飛行機墜落。

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全員で悪魔の島に流れ着いたのでした…ってのが前半のプロットなのですが、ここまででもうツッコミのカーニバル&フェスティバル。

まずパクストンが島に戻って来る意味がありません。

黒幕に復讐って、そんな危険な実験島に黒幕いるわけないだろ。

自分が島にいることを相手に知らせておびき出すつもりだったのか。

のこのこ本人がやってくる保証がどこにある(来たけどさ)。

島にナパーム撃ち込んでしまえばそれで終わりじゃん(実際撃ち込んで来たし)。

実験の証拠品である薬剤(触れただけで罹患する代物なのにコカインのようにビニール袋に入っている)を取りに来たのか? んなもん手元に山積みされてたんだから、最初に逃げる時に持ってくればいいだろ。

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大体、どうやってその島から脱出したんだよ?

泳いで逃げるのは不可能だとか自分で言ってたよな。

乗ってきたボートか何かで逃げたんなら、戻って来る時もボートだろ。何でわざわざ民間機ハイジャックする必要がある?(因みに島に滑走路とかありません)

かわいそうなのは巻き添え喰らったツアー客(自業自得な面も多々ありますが)。

パクストンには当事者として島の状況を説明する義務があると思うのですが、何故か頑なに黙秘。ただ「俺と来ないと死ぬぞ」と言うだけ。

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客は客で正義マンとデブとヘタレとビッチと韓国人と…で全滅エンド確定フラグ。

黒幕の小物感が半端ないのはちょっとした収穫でしたが、なんでお前が直々に島まで来て白兵戦するのよ。最初からナパームどん!でいいじゃん。

という疑問の数々を景気のいい音楽と人体破壊で蹴散らしていく71分。

ツアー・コンダクターのお姉さんカーラ(キーラ・ザコースキー)がタフでパクストンよりよっぽど頼りがいがありました。

因みに原題は「TOXIN」。翌2015年に全く同じタイトルのアメリカ映画(本作はカナダ映画)が製作されています(邦題は「ウイルスハザード」)。

とある製薬会社が毒素球菌(と解毒剤)で一山当てようとしますが、邪魔が入って大騒ぎ、という似たり寄ったりの内容でした。

そして両者最大の共通点は「全世界でビデオスルー」

本作を観て思いました。「悪魔の毒々プラトーンって良く出来た作品だったんだなぁ、と。

 

★もう1本の「TOXIN」についてはこちらを。 


★名作「悪魔の毒々プラトーン」についてはこちらを。 

 

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★本日11月6日は33歳でこの世を去った金子正次(1949年~1983年。胃癌性腹膜炎)の命日(看取った松田優作も6年後の同日死去)。

金子正次と言えば兎にも角にも命削った主演作「竜二」(公開中に死去)ですが、その前年もう1本出演している作品がございます。それが、