2009年1月20日。
近来稀に見る好感度を以て迎えられたバラク・オバマ新大統領。
その裏では前任者がせっせと証拠隠滅に勤しんでおりました。
まず、「国防総省の隠れ家」と呼ばれている倉庫を50年分の政府関係資料もろともBURN(原因はガス漏れと発表)。
実行部隊は政府非公認のエリート諜報員組織「ファクトリー」。
設立は1962年。母体は国防総省と統合参謀本部。
67年にアルファとオメガの2チーム制に移行。
アルファの任務は大統領が軍需産業を批判した時や、年間6000億ドルの国防費を減らそうとした時にこれを阻止する事。場合によっては力づくで。
逆に言えば、大統領が戦争大好きなら、これを後押ししてかなりの汚れ仕事を請け負っていたはず。
オメガの役割はアルファによる人類滅亡を阻止する事(抑止力?)って事になっていますが、まあ互いに牽制し合う両輪体制だと考えた方がいいでしょう。
いずれにしてもブッシュ時代の活動記録を新政権に渡すわけにはいきません。人も文書もデータも断捨離です。
「極秘指令 ドッグ×ドッグ」(2009年/フアド・ミカティ監督)
オバマ就任の裏で下ったファクトリー壊滅指令。
その一方でアルファには別途、オメガ殲滅が指示されておりました。
映画版バイオハザードに出て来るハイブ(HIVE)並みの地下オフィスでアルファ×オメガ×チームに属さない暗殺者が殺し合い。
設定は悪くないです。
メンバーはオフィスに入る時に得物を預ける決まりなので、全員丸腰。殺し合いの道具は手近にある備品類というのも捻りが(トンチが?)効いています。
ただねえ…今回発動された「終末計画(Operation Endgame←原題)」って、最終的にはナパームで施設ごと燃やし尽くす計画なんだべ? 殺し合わせる必要なくね?
メンバー殺すだけならナパームなんか使わずとも、空調にガスでも流せば済む話じゃん。
なまじ爆破までのカウントダウンなんか付けるから、脱出ルートとか模索されちゃうし。
ガスで全員殺した後、ヤバイ資料は処分すればいいじゃない(面倒くさいから、ここで事故を装ってナパーム使うのなら分かります)。
という訳で、終始「上も下も何がしたいの?」感が満開でイマイチお話に没入できませんでした。
コメディとして恐ろしく中途半端なのも痛い(あー言い忘れておりましたが、本作コメディなんです。品の無い台詞が笑いに昇華されていないのが見ていて辛い)。
配属初日にこの厄介事に巻き込まれる諜報員「愚者」(メンバーは全員タロット絵柄のコードネームがついている)を演じたジョー・アンダーソンって人、結構こちら側の作品(「パラサイト・バイティング 食人草」「ホーンズ 容疑者と告白の角」「ハングマン」「クレイジーズ(2010年リメイク版)」など)に出演しているのですが、印象が薄いと言うか記憶に残りにくいお方です。
オリジナル脚本「The Rogues' Gallery」は、2004年Scriptapaloozaのファイナリスト、Screenwriting Expo 3脚本コンテストの「Best Comedy」に選出されたらしいのですが「そーかー?」が正直な感想でした。
★折角の機会なので、ジョー・アンダーソン出演作を再確認しておきましょう(すぐ忘れちゃいそうな気もいたしますが…)。
※左上から時計回りに「パラサイト・バイティング 食人草」「ホーンズ 容疑者と告白の角」「ハングマン」「クレイジーズ(2010年リメイク版)」。多分、街ですれ違っても気づかない…。
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