バイト先の思ひ出、80年代前半の川崎映画街シリーズ。
映画館で当日券を販売する窓口を「テケツ」と言います。ガラス張りの中で綺麗なお姉さんが微笑んでいるあそこですね(これも今や過去の風物詩か…)。
当時、川崎に綺麗なお姉さんはいなかったので、いかついお兄さんか、ちょっと鳴らした御姐さんが入っておりました。
ある日の夜、このテケツの前に一人の酔っ払いが。
服装は股引に白のランニングシャツという絵に描いたような川俣軍司スタイル。
チケットを買うでもなくしばらく佇んだ男は、突如、ふりかぶるモーションを見せずにテケツのガラス窓に華麗な正拳突きをぶちかましました。
見事ガラスは木っ端微塵。
この距離から一撃で分厚いガラスを粉砕するとは、ブルース・リーかリュー・チャーフィの下で1インチ・パンチを取得したとしか思えません。
幸い、怪我人もなく(大抵は、その場で酔っ払いがボコボコにされるのですが、彼は逃げ足も一流でした)、大事には至りませんでしたが、しばらくの間、テケツの窓口は「ベニヤ張り」という地方館の誉れを上塗りするナイスな仕様になっておりました。
※写真は、パイ・メイ(リュー・チャーフィ)の元で「1インチ・パンチ」を習得中のザ・ブライド(ユマ・サーマン)
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