USネイビー(1980)対大日本帝国海軍(1941)の全面戦争を期待すると見事に肩透かしを喰らいますが、タイム・スリップものとしてはなかなかの秀作だと思います。
「ファイナル・カウントダウン」
(1980年/ドン・テイラー監督)
とにかくスクリーン初登場となる原子力攻撃空母ニミッツの迫力よ。
F14トムキャットの通常着艦、バリケード着艦を丁寧に見せるサービス精神(誰に対する? 勿論、世界中のミリタリー・マニアに対してよ)。
これがハワイ沖で謎の嵐に飲み込まれてタイム・スリップ・・したのですが、なんせ海しか見えない太平洋のド真ん中、判断のしようがありません。
随伴していた駆逐艦は消失。ラジオからはやけに古い番組が流れ、真珠湾に出した偵察機が撮影した写真には現役ピカピカの戦艦アリゾナが。
レーダーに映った謎の機影・・スクランブル発進したF14が見たのは工場出荷直後のような現役のゼロ・ファイター2機(ご丁寧に三菱A6M型零戦とフルネーム呼称)。
間違いない、今日は1941年12月6日だ・・。
何も分からない状況から推測を重ねて事実を知る過程がスリリング。
これから何が起きるのか我々は知っている・・そして阻止する事ができる・・歴史に介入して以後の40年を修正する事が出切る・・しかし・・という葛藤。
当時の歴史をまとめている軍司オタクの乗組員がいるというのがミソ。
戦闘シーンは少ない(と言うかほとんど無い)ですが、トムキャット対ゼロ・ファイターのドッグファイトは毛穴がぞろりと粟立ちます(変?)。
ラストのオチはタイム・スリップものの王道で爽やかな後味。
日本軍捕虜役が韓国系アメリカ人なので少々アクセントが変ですが、アメリカ映画に出てくる日本人としてはまともな方でしょう(少なくとも滑舌は良い)。
ニミッツ艦長にカーク・ダグラス、謎の富豪の指令で同艦に乗り込む役人にマーティン・シーン、紅一点キャサリン・ロス。
マーティン・シーンは「炎の少女チャーリー」でも“チャーリー、君を家族だと思っている”とか言っていましたが、今回はキャサリン・ロスの犬の名前がチャーリー。
きっとチャーリーという名前が刷り込まれてしまったんでしょうねえ・・。
※参考:「炎の少女チャーリー」→2010年8月31日