デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

市川雷蔵ゆかりの方では? タイフーン/Typhoon

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「なあ、世の中狂っていると思わないか? 俺も!お前も!同じ言葉を話す人間同士なのに!」

20年前、脱北を図るも国際情勢の都合で韓国に裏切られ、家族を失った男シン(チャン・ドンゴン)。長じて海賊となったシンは、受け入れを拒んだ韓国に特大規模のお礼参りを敢行します。

「タイフーン/Typhoon」(2005年/クァク・キョンテク監督)

民間船に偽装した米国の輸送船が海賊に襲われ積荷が消失。

積荷は何と、米国が日本を核保有国にする準備の一環として沖縄に運び込む予定だった “核爆弾誘導装置”。

海賊の長シンはこれを元手にロシアン・マフィアから核廃棄物を大量買い付け。狙いは、韓国全土に死の灰を撒き散らしての国民殲滅。

韓国情報局(軍から移籍)のカン・セジョン(イ・ジョンジェ市川雷蔵そっくりな昭和の軍人顔)が捜査を開始。

幼い時に生き別れとなったシンの姉チェ・ミョンジュ(イ・ミヨン)を餌にシンの身柄を確保しますが、米国が米韓連合を盾に強制介入、全てを闇に葬り去ろうと・・。

話のスケールが大きい割りに背景やら人物設定やらが極端に説明不足。実はオリジナルは4時間くらいあって無理やり2時間に編集したのではないかと疑うほどの端折りようです。

核廃棄物を韓国に降らせるアイデアもユニークを通り越して荒唐無稽。

隙だらけにも程があるノーガード脚本ですが、南北問題という伝家の宝刀を振り回す豪腕演出で力技の強行突破。

姉と弟の邂逅はイ・ミヨンの名演も手伝って涙腺突きまくり。

北朝鮮側の人間が韓国を呼ぶときは必ず南朝鮮と言っているのが印象的でした。