CSファミリー劇場で「装甲騎兵ボトムズ」の放送が始まりました。
思えば学生時代、バイト先の同僚に産○大学のアニメ研部長がいたのが運の尽き。
「え、伊藤さん、ボトムズ観てないんですか? 駄目ですよ、そりゃ許されません」
そして渡された3倍速でみっちり詰まったVHSテープの束。2晩徹夜して全話制覇(死ぬかと思った)。
それまでは主人公と同等もしくはそれ以上のキャラとして扱われていたロボットを単なる乗り捨ての道具にしてハードボイルドに徹した本編も勿論素晴らしいですが、心惹かれたのは予告編。
言葉のリズムを極めた詩の数々に圧倒されました。ありていに言えば“べらぼうにかっちょいい”のです。
普通、そんなものが単独で商品化される事はないのですが、例外的に全予告編(番宣含む)を収録したビデオが存在します。
「装甲騎兵ボトムズ HIGHLIGHTS FROM THE “A.T.VOTOMS”」
一応、名場面集の体裁をとっていますが、実態は予告編集です。
ある時は詩的に、ある時は劇的に、変幻自在な予告編の中からお気に入りをピックアップしてみましょう。
“昨日の夜、全てを失くして酸の雨に濡れていた。
今日の昼、命を的に夢買う銭を追っていた。
明日の朝、ちゃちな信義とちっぽけな良心が、瓦礫の街に金を蒔く。
ウドは百年戦争が作ったパンドラの箱。
質を問わなきゃ何でもある。
次回「救出」。明後日、そんな先の事はわからない。”
ボガードの台詞にインスパイアされているのは明白ですが、実にハードボイルドです。
“敵の血潮で濡れた肩。地獄の部隊と人の言う。
ウドの街に、百年戦争の亡霊が蘇る。
パルミスの高原、ミヨイテの宇宙に、無敵と謳われたメルキア機甲特殊部隊。
情無用、命無用の鉄騎兵。この命、30億ギルダン也。
最も高価なワンマンアーミー。
次回「レッドショルダー」。キリコ、危険に向かうが本能か。”
うって変わってこの勢い。情け無用、命無用の鉄騎兵って所のリズムがいいですね。
“さだめ、絆、縁。人間的な、余りにも人間的な、そんな響きはそぐわない。火薬の臭いに導かれ、地獄の炎に照らされて、アストラギウス銀河の星屑の一つで出会った、60億年目のアダムとイブ。これは、単なる偶然か。
次回「フィアナ」。衝撃のあの日からをトレスする。”
ボトムズの本質が宇宙規模のラブストーリーだという事が良く分かりますね。
次回「○○」の後の一言がいつもダメ押しのかっちょ良さ。「飢えたる者は常に問い、答えの中にはいつも罠」とか「必然足りえない偶然は無い」とか「神もピリオドを打たない」とか「人は流れに逆らい、そして力尽きて流される」とか(駄目だ、キリがない)。