いやはや凄ぇ面子だ。
デ・ニーロにノルティ、ジェシカ・ラングにジュリエット・ルイス。オリジナルからグレゴリー・ペックとロバート・ミッチャム、ついでにマーチン・バルサムがカメオ出演。
タイトルデザインにソール・バス、音楽はバーナード・ハーマン&エルマー・バーンスタイン。スピルバーグの財力の成せる技か、はたまたスコセッシの人徳か。
「ケープ・フィアー」
(1991年/マーティン・スコセッシ監督)
J・リー・トンプソン監督による「恐怖の岬」(62年)のリメイクです。
お話の流れは前作とほぼ同じ。刑期を終えた男がムショ入りの原因となった弁護士一家にお礼参り。
身も蓋もないですが“それだけ”の話です。デ・ニーロが久々のキレキャラを嬉々として演じていますが、それだけの話で127分はちとキツい。
オリジナルは106分。差し引き21分がそのまま“冗長”の要因に。
演出的にもジェシカ・ラングのねっちょりリップスティックとか「それ本当に必要?」なカット多数。意味ありげなネガポジ反転も何を狙っているのやら。
オリジナルの弁護士(グレゴリー・ペック)が誠実な証言者だったのに対し、ニック・ノルティは正義感ゆえに依頼人(婦女暴行魔デ・ニーロ)に有利な事実を握りつぶすプチ悪徳弁護士なのが今回の新機軸。
確かにニック・ノルティから誠実さを汲み取るのは困難なので、ナイスな設定変更です。
つまり、前作は粘着質な性格ゆえの逆恨みでしたが、本作のデ・ニーロは純粋な復讐者。
“てめえ、俺の弁護士のくせに俺に有利な事実を隠蔽しやがって!”という訳です。
どうも私はこの手のサスペンスに関心が薄いようで、結局最後までエンジンかからず。
大嵐に翻弄されながらの船中対決、顔面バーニング、でも不死身、なジェイソン・デ・ニーロ・・画面が派手になる程、リアリティは彼岸の彼方。
あまりに予定調和な結末も意外性ゼロで腰砕け(ジュリエット・ルイスの回想形式で始まるのでハッピーエンドは与件)。
個人的には事の是非を問わず、復讐者に肩入れする性格なので、せめて家族の誰か(順当にノルティ)は殺って欲しかったなあ。
嫁さん(ラング)もそこそこ酷いメに遭って、最後に娘(ルイス←話の設定上、反撃の権利を有するのは彼女だけ)が、窮鼠猫を噛む的大反撃に出る、という展開にしてくれたら少しはノレたかも。