連戦連敗。低迷のズンドコをひた走る全米アイスホッケー・マイナーリーグ最下位チーム「チャールズ・ダウン・チーフス」。
ダメ男×ダメ男のダメチームが、家族と仕事の起死回生・・お約束の展開ですが、ここにシモネタとバイオレンスをぶち込んだら、あら不思議、一服の清涼剤の如き爽やかな作品に。
「スラップ・ショット」
(1977年/ジョージ・ロイ・ヒル監督)
勝ち知らずのチームが浮上するきっかけになったのは、選手兼コーチのレジ(ポール・ニューマン)が試合中、相手チームのキーパーに放ったこの一言。
『She Is A Dyke!(お前のカミさんはレズだ!)』
Dyke(ダイク)はその筋の人以外はあまり耳にしない単語だと思いますが、Lesbianの蔑称です(因みにゲイの蔑称はFag、Faggotで、どちらもニューマンが口にしています)。
当然、リンクは大乱闘。ここに“ハンセン三兄弟”というエビ投げ分身ハイジャンプ魔球のような隠し球が加わって、一気にチーフスはラフプレーを超越したバイオレンス・チームとして大復活。
この手の話は説明するだけ野暮なので、あとは皆さんでご確認を(損はさせません)。
ただ、できれば吹き替えで。本作の字幕は重鎮・高瀬鎮夫先生なのですが、これが驚く程いい加減なやっつけ仕事。
ラフに目覚めたチーム・メンバーが移動バスをハンマーでボコボコにしているシーン。チーム・メイトが「何をしているんだ?」と聞くと、
字幕は「見ての通りさ」・・意味不明ですよね。
台詞は「Makin’ It Look Mean」。“それっぽくしてるのさ”ってな感じでしょうか。
吹き替えだと「ワルっぽく見えるだろ」・・納得。
他にも、試合中の大乱闘実況シーンで、
字幕は「冷静に席についてください」・・意味は通らなくもないですが、台詞は、
「Ladies & Gentlemen, Look At That. You Can’t See That. I’m On Radio」
吹き替えは「見てください、これ・・ああ見えませんね、これラジオでした」
いくらなんでも手ぇ抜きすぎじゃないすか、高瀬さん。
他にも多民族メンバーの訛りとか、下品な単語とか字幕では補完しきれない部分も吹き替えは巧いこと掬ってくれています。
吹き替え翻訳は高山美香さん。良い仕事しています。