デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

弾けないというリアル。 出張

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『俺だぁ、熊井だぁ! 頑張れよぉう!』

途中の間延びした展開がやや居心地悪しですが、何故か見終わった後には倦怠混じりの清々しさが…。

ビデオを止めて、お茶でも入れて、ひとり内容を反芻したくなる、そんな映画です。

「出張」(1989年/沖島勲監督)

土地狂乱のバブル真っ只中、東北に出張に来た中年サラリーマン・熊井(石橋蓮司)。

線路に落石で電車運行停止、道路にも落石でバス振り替え不能、仕方がないので近くの温泉・日和見温泉(ロケ地は滑川温泉)に一泊。

良い休養になったと喜んだのもつかの間、近くの山中に活動中のゲリラ(隊長・原田芳雄)に身柄を拘束されてしまいます。

ゲリラは熊井の妻と会社に合計5千万の身代金を要求しますが、彼らの反応は・・。

東北の山中で国家権力と戦い続けるゲリラというファンタジーと言っていい設定にサラリーマンの悲哀が被る大人のおとぎ話。

ゲリラに拘束されるまでがちぃっと長く(20分近くある)、やや水増し感がありますが、ここで桃尻娘の片割れ、亜湖の裸が拝めるので特別に善しとします(笑)。

エンターテイメントとしてのまとまりを考えるなら、家にも会社にも見捨てられたサラリーマンの捨て身の反撃とかを描くのかもしれませんが、そんな安直な方向に転がらないのが本作の良い所。

当時の石橋(と言うか熊井)と年齢設定が被るので、ちょっとしんみりしてしまいました。