『俺だぁ、熊井だぁ! 頑張れよぉう!』
途中の間延びした展開がやや居心地悪しですが、何故か見終わった後には倦怠混じりの清々しさが…。
ビデオを止めて、お茶でも入れて、ひとり内容を反芻したくなる、そんな映画です。
「出張」(1989年/沖島勲監督)
土地狂乱のバブル真っ只中、東北に出張に来た中年サラリーマン・熊井(石橋蓮司)。
線路に落石で電車運行停止、道路にも落石でバス振り替え不能、仕方がないので近くの温泉・日和見温泉(ロケ地は滑川温泉)に一泊。
良い休養になったと喜んだのもつかの間、近くの山中に活動中のゲリラ(隊長・原田芳雄)に身柄を拘束されてしまいます。
ゲリラは熊井の妻と会社に合計5千万の身代金を要求しますが、彼らの反応は・・。
東北の山中で国家権力と戦い続けるゲリラというファンタジーと言っていい設定にサラリーマンの悲哀が被る大人のおとぎ話。
ゲリラに拘束されるまでがちぃっと長く(20分近くある)、やや水増し感がありますが、ここで桃尻娘の片割れ、亜湖の裸が拝めるので特別に善しとします(笑)。
エンターテイメントとしてのまとまりを考えるなら、家にも会社にも見捨てられたサラリーマンの捨て身の反撃とかを描くのかもしれませんが、そんな安直な方向に転がらないのが本作の良い所。
当時の石橋(と言うか熊井)と年齢設定が被るので、ちょっとしんみりしてしまいました。