デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

USA!USA! 世界侵略:ロサンゼルス決戦

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『彼らの目的が資源なら、原住民は邪魔なだけですからね。(掃討は)植民地政策の基本ですよ』

『息子は能天気でね。どうしてお話しないの?友達が欲しいだけかもよって。言ってやりました。銃を持って追いかけてくる人とは友達になれないよ』

『軍は誰も見捨てたりしないよ』

風呂敷は地球規模ですが、お話はソマリヤ兵をエイリアンに置き換えた「ブラックホークダウン」(もしくはご近所暴徒をエイリアンに置き換えた「不動を待ちながら」)。

毎度お馴染み海兵隊万歳!アメリカ万歳!USA!USA!映画です。

世界侵略:ロサンゼルス決戦

(2011年/ジョナサン・リーベスマン監督)


全世界主要都市の近海に隕石が落下。

形状が等しく、着水直前に減速したこれらは勿論隕石などではなく、中からエイリアンズがこんにちは。

圧倒的な火力で瞬時に世界主要都市を制圧(同時多発侵略ですな)。

ここまでは「インデペンデンス・デイ」ですが、ドラマはロス爆撃のタイムリミットまでに避難しそびれた民間人を救出する海兵隊の大活躍というカプコンのゲームかよ!」な展開に。

視点を固定してパースペクティブを広げない、というのは製作者が意図した事なので与件ではありますが、「コンバット」の1エピソードを見ているようでちとしょぼい。

宇宙戦争」「クローバーフィールド」のような市井の人を主役にしていればそれもアリですが、軍隊目線でそれはないだろう。

イラクで部下死なせた2曹のトラウマとか設定が安いのもちょっと…。

ミシェル・ロドリゲスの投入だけは大正解でしたが(彼女なら一人でもエイリアンを殲滅できそうな気がする)。

戦闘シーンの勢いで誤魔化してはいますが、とにかく脚本が荒すぎ。

相当な科学力を持っているはずなのに、エイリアンが弱すぎ。航空兵力の存在を隠して陸戦歩兵による侵略ってのも意味不明。

2曹は大した根拠も無く「あそこ(停電エリア地下)が指令基地だ」とか適当に断言しちゃうし。

大体、海岸に落ちた(落とした)隕石から出てきた巨大母艦がどうやって街中の地下に潜ったんだよ。目撃者はいなかったのか? 海から地底を掘ったにしては位置が浅すぎるぞ。

あと、手持ちカメラ振り回して、ドキュメンタリー・タッチとか言うのいい加減やめれ。

最後に本編中何度も使われる合言葉「撤退NO!」について。

字幕だとひとつの単語みたいになっちゃってますが、台詞は、

“Retreat”“Hell!”

Hell!は恐らく“The Hell You Say!”の略で「何寝言こいてんだコノヤロー!」ってな意味でしょう。

「撤退!」「ふざけるな!」という掛け合いとして捉えるべきで、台詞にない英語“NO”と抱き合わせてひとつにした字幕にはそこはかとない違和感を覚えます。