50年代SF映画と言えば、巨大生物大暴れか異星人大侵略が定番ですが、無機質な自然現象に英知を以て立ち向かう異色作がありました。
黒くて硬くてそそり立つ、そいつの名前は、
「モノリスの怪物~宇宙からの脅威」
(1957年/ジャン・シャーウッド監督)
砂漠の真ん中に隕石落下。細かく砕け散った黒曜石の様なかけら。
こいつが水に触れると雨後のタケノコの如くニョキニョキと巨大化(まぁ、増えるワカメみたいなものです)。
厄介なのはその後。
育ち放題育ったモノリスは、自重に耐え切れず崩落。なぎ倒される大木の様に足元の家や家畜を叩き潰して飛散。
かけらのひとつひとつが水を吸って再び巨大化→崩落。
この作業を繰り返しつつ、テリトリーを広げ移動。街へ。
更に面倒な事に、巨大化するモノリスの近くにいた人間は体が硬化&石化。時間が経てば石になってしまうという豪華特典が。
たったひとつの石を持ち帰った少女の家が巨石に圧し潰されて全壊。何が起きたのか。巨大化のトリガーは何か。石化の原因と対処法は。
ひとつひとつの可能性を潰していく地道な作業。ようやく“水”がトリガーだと分かった時、砂漠に集中豪雨が…。
クライマックス1点に向けて収斂していく構成が見事。
ミニチュアとマット画を併用した特殊効果も迫力満点。
この「傑作SF映画選」シリーズ(発売元:RUNコーポレーション)はどれも驚くほど画質が良いのですが、本作も57年前のモノクロ作品でありながら、昨日撮ったような高画質。
昨今の“CG多用”“見せ場乱立”“解決策は愛と核”な作品群と比べると地味に映るかもしれませんが、SFはアイデアが命。
文字通り“硬派”なクラシックをご堪能ください。