予備知識ゼロで観始めたので、一体何が始まったのかと思いました(笑)。
街角から指を鳴らしながらステップを踏んで登場するパレスチナ人。反対側からは同じく指を鳴らしながらイスラエル人のグループが。
まさかとは思いましたが、タイトルまんまのミュージカル・パロディでした。
違うのは場所。ここはウェスト・バンク。中東ヨルダン川西岸地区。
「ウェスト・バンク・ストーリー」(2005年/アリ・サンデル監督)
通りを挟んで立つ2軒のファースト・フード店。
ひとつはパレスチナ人の経営する「フムス・ハット」、もうひとつはイスラエル人が経営する「コーシャー・キング」(←ご丁寧な事に屋根の上にはバイオリン弾きがいる)
いがみ合いを続ける2店でしたが、あろうことかフムス店長の妹とコーシャー店長の弟が民族を超えた道ならぬ恋に!
「今夜、君の家の前で、近所迷惑になるくらい大声で愛の歌を歌うよ」
因みにフムスとは、茹でたひよこ豆にニンニク、練り胡麻、オリーブ・オイル、レモン汁を加えてすり潰し、塩で味付けしたペースト状の料理・・だそうです。
本人(パレスチナ人)たちも「♪ひよこ豆が大好き!」と歌っておりました。
ついでにコーシャーについても調べました所、「ユダヤ教が定める食べ物に関する戒律及びその規定に則って作られた食べ物」を指すんだそうです。
パレスチナ人は、コーシャーの機械に石を投げ込んで妨害(投石はパレスチナのお家芸。写真4はイスラエルの戦車に投石するパレスチナの少年)。
イスラエル人は、領土確保の為にフムスとの境に壁を建築(写真3はイスラエルの防護壁)。
果たして、両社の諍いに決着はあるのか。
にしても、現在進行形の民族紛争を歌って踊るコメディにしてしまうとは何と言う大胆不敵。そんな作品にアカデミー短編実写賞を与えるアメリカ人って(アメリカ映画なんです)。
あちこちで批判は出ていたようですが、笑い飛ばす当事者も多数いたとか(これこそが明日への希望)。
これ、例えば、竹島で道を挟んでいがみ合う寿司屋とカルビ屋という設定にしたらどうなるんでしょう(想像したくないなぁ…)。