“♪どんなに深いトコだって、
泳いで行けるよ、スイスイ
どんなに狭いトコだって、
泳いで行けるよ、スイスイ
君とトレマーズ! 君とトレマーズ!”
エンドクレジットでこんな歌でも流れたら一発逆転で高評価になったかも。
「シー・トレマーズ」(2010年/ブライアン・ユズナ監督)
ホームランか三振のユズナ×香ばしいキャリアを重ね続けるマイケル・パレ。テーマは怪獣。
見渡す限り地雷原ですが、俺が行かねば誰が行く。
冒頭で海底深く広がる太古の都市(全部、絵だ!)。
おお、流石ユズナ。やはりモチーフはクトゥルーか!(しかし、絵だ!)
お話の舞台はインドネシア。スカイラー・ジェーンは研究報告書に根拠のないあれやこれやを盛り付けてしまったために、とっとと裏づけ発見しないと大学クビになる崖っぷちの海洋生物学者。
彼女が雇ったジャック・ボウエン(マイケル・パレ!)は、タバコの密輸を仲介しているが代金に手をつけてしまったために、とっとと金の工面をしないと本格的にマズい事になるどん詰まりの小型船船長。
スカイラーは、調査の途中に立ち寄ったジャマールと呼ばれる海上密漁場で強制労働させられている子供を発見。
この子供タマールが呪術師の血を引いているのがミソで、同じ魚場で働く兄を殺された恨みから海に棲む魔物を召還し復讐を…。
兄は確かに殺されるのですが、直接的な原因は虐待ではなく間抜けな事故。
出てきた怪物は、スカイラー曰く“広翼類のミクソプテルス”ですが、どう見てもサソリ+ザリガニ。
そもそも本作はトレマーズとは縁もゆかりも無い赤の他人(原題は「Amphibious」←水陸両生)。グラボイスを期待すると脱臼しそうな肩透かしを喰らいます。
せめてトレマーズの代名詞である“立て篭もり”形式によるサスペンスでもあれば救いになったのですが、折角の海上密漁場というお膳立ても活用しきれず終始グダグダ。
女はまるで使えないし、パレも何しに出てきたんだか。オチに繋がる描写を意図的に誤魔化しているので、途中激しく説明不足だし。
“『ジョーズ』を超えた恐怖! 『遊星からの物体X』を超えた戦慄! そして、『ミスト』を超えた衝撃!”などという寝言でも許されないキャッチコピーを考えた東宝の担当者を石抱き状態で小一時間問い詰めたい所です。
ところでオープニングで映ったルルイエもどきの古代海底都市の絵、ありゃ一体何だったんだ?