デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ギラーミン!! レマゲン鉄橋

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は、速え…。

軽戦車とは言え、戦車ってのはこんなに速く走れるのか。

ライン川縁を走る米軍車両の一団にあって全く引けをとらない速さ。更に対岸からの砲撃に対し、行進射撃で応戦。何という機動力。

戦車の名前は“M24チャーフィー”。「ガールズ&パンツァー」うさぎさんチーム通信手・宇津木優季が“好きな戦車”として挙げている米軍軽戦車です。

迫る米軍の眼前で鉄橋(オーバーカッセル)は負傷兵を乗せた汽車の通過直後、独軍の手によって自爆・崩落。

これでライン川に掛かる橋は残りひとつ。それが、

レマゲン鉄橋
(1968年/ジョン・ギラーミン監督)


1945年。敗色著しい独軍は自然の要塞であるライン川を防衛ラインとして敗走。

ライン川に掛かる橋は、独軍兵士にとっては唯一の退路。そして連合国にとっては唯一の侵入路。

7万5千の友軍を見捨ててでも侵入路を塞ぎたいドイツ(1歩たりとも敵に我々の聖地は踏ませぬ!)。

ギリギリまで待って、一人でも仲間を救いたい現場指揮官(ロバート・ヴォーン)。

退路封鎖から侵入路確保に方針転換した連合軍。それぞれの想いがひとつの橋で交錯します。

位置関係も良く分からない5つの橋を相手にした“マーケット・ガーデン作戦”と異なり、話のベクトルがレマゲン一点集中なので実に分かりやすい。

人間関係の整理(深堀り)が超テキトー(特に謎のフランス女)という欠点はありますが、攻防シーンが素晴らしすぎるので全く気になりません。

ロケに使用されたチェコスロヴァキアのダヴレという町が再開発真っ只中で、建物爆破し放題という夢のような環境がとんでもない迫力を生んでいます。

いやもう、爆破の度に「おお、ギラーミン!!」という意味不明な合いの手を入れておりました。

加えてアングル、編集が秀逸で、どう撮れば戦車がかっちょ良く見えるか、を熟知した画作りになっています。

『あれはどっちの飛行機だ?』

『敵機です』

『…本当の敵は誰なんだろうな?』

索漠とした表情で刑場の空を見上げるロバート・ヴォーンがいい味出しています。