『久(ヒサ)には格なんか必要ないんじゃ。人に胸張って見せるために三代目になるんじゃない。戦争を終わらせるためになるんじゃけ』
普通、「広島やくざ戦争」「続・広島やくざ戦争」「完結編」と並んでいたら、「正」「続」「完結」の順に観るでしょう。
で、「続」を観はじめたら何かおかしい…。
山岡久(=山田久@小沢仁志)は刑務所に入っていたはずなのに、いつの間にか共雄会(共政会)三代目に収まっているし、渡辺裕之は服田組長役だったはずなのに違う役名になっている。
役者の使い回しは本家「仁義なき戦い」のお家芸ですが、それにしても…。
何より前作で「お前と広島獲りあいたいの」と言っていた中野英雄の姿がどこにも…。
改めて製作年度を確認したら「正」「完結編」が2000年、「続」が2001年。順番、逆じゃねえか!
「広島やくざ戦争 完結編」「続・広島やくざ戦争 流血!第三次抗争勃発」(2000-2001年/辻裕之監督)
完結編は、共雄会理事長の座に収まった山岡が、広島統一(外圧排除)のため、頂点に駆け上がっていくまでが描かれます。
反山岡の勢力焚き付けて山岡を殺(と)ろうとする神戸(国内最大組織)の先兵役が何と三池崇史。
こういう狂犬チックな役演らせると巧いなあ、この人は。
「荒ぶる魂たち」でも相手縄張りの店舗で揉め事起こすシャブ中のチンピラ役だったし(「サラリーマン、楽しいっすかぁ!?」は心かき乱す名台詞…かも)。
何発もの弾丸を喰らい、絶対安静を言い渡されても気合で共雄会三代目会長襲名披露を強行する山岡。全ては広島をひとつに、の想いから。
「続・広島やくざ戦争」は、山岡の三代目襲名から、その生涯を閉じるまで。
血で血を洗う抗争と言うよりは、人を、組織をまとめ上げていく苦労が描かれています。
山岡を支える女房役に中島宏海。
自分を殺りに来た鉄砲玉に銃を向ける山岡。その間に入って鉄砲玉を庇う宏海。
『あんたがおらんようになったら(逮捕されたら)、広島は誰が守るの!?』
この人、「龍虎兄弟」でも小沢の恋人役でした。お気に入りなのかも。
「続・~」のお気に入りは、小沢仁志が清水健太郎に「ご無沙汰してます」と頭を下げる所。何か現実とシンクロしちゃって(笑)。
3本併せて6時間弱。V撮りの画質など途中からどうでもよくなってしまいました。堂々たる広島大河三部作だと思います。
★1作目のおさらいはこちらで。