
『善い事? 人助け? 笑わせんなよ。
生憎と俺達の神様に出来るのは破壊と殺戮だけだ。
何故か分かるか?
中味が人間の心だからさ』
因習と伝統に縛られた山間の村には、人の心宿りし神様が棲んでいました。
「神様ドォルズ[北米版BD-BOX]」(2011年7月-9月放送/岸誠二監督)
東京で暮らす平凡な大学生・枸雅 匡平(くがきょうへい)。彼の元に故郷・空守村(からかみむら)に残してきた妹・詩緒(うたお)が。
『阿幾が逃げた…』
枸雅 阿幾(くが あき)。匡平の幼馴染。ある大量殺人事件の首謀者として村の座敷牢に監禁状態だった阿幾が脱走した。匡平が村を捨て東京に出たことを知って…。
詩緒も阿幾も(そしてかつては匡平も)「隻(せき)」。空守村に伝わる案山子と呼ばれる神様を操る事ができる特殊能力保持者。
『神は天にいまし、世は全て事も無し。けど、俺達の神様はここにいる。
事も無しって訳にはいかねえ。
眼を開くか閉じるか…ちゃんと決めておけよ』

因縁となる過去のエピソードはふたつ。祠の奥深くに眠っていた案山子“天照素(アマテラス)”の暴走と鎮圧(隻だった匡平が、自身の案山子である玖吼理(ククリ)の特殊能力を発動させて撃退)。

もうひとつは匡平が隻という村内における絶対的権力者の地位を捨てる原因となり、阿幾が座敷牢に囚われる理由となった大量殺戮事件。

良く出来たシナリオだと思いますが、13話かけて状況説明と人物紹介を丁寧にやったという印象なので、クライマックス的盛り上がりがないのが残念無念。
完全に2期狙いの構成。しかし、未だ2期は実現していません(返す返す残念)。
ヒロインは主人公兄妹が身を寄せることになった史場家の一人娘・日々乃(ひびの)なのですが、乳がデカいという以外これといった特徴無し。
やはり存在感が際立つのは匡平の妹・詩緒です。
お兄ちゃん大好き、特技・顔芸と言えるくらい表情豊か(でも笑顔が作れない)。匡平から引き継いだ玖吼理の隻としての成長過程も見所です。

もうひとり、枸雅家と対立する日向(ひゅうが)家の隻・まひる。
天照素暴走事件の時に匡平に命を救われたため、彼にぞっこん。家同士の因果を破壊する過激なジュリエットで、匡平にのみデレな超高飛車お嬢様です。

一応敵扱いになっている阿幾も含めていい感じにキャラは立っているのですが、お話が転がりだす直前で幕となってしまいました。OVAでもいいので続きを作って欲しいものです。
