デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ルームロンダリングというお仕事。 呪【ノロイエ】家

f:id:zombieito:20210414140442j:plain

ホラー映画と投稿画像の最大の違いは前者にはドラマが必要ですが、後者には不要という事でしょう。

ブツ切れ・剝き出しの心霊映像には、うっかり写真の片隅に「映っているはずのないもの」を発見してしまった時と同じ理屈抜きの恐怖があります。

ただし、上手に撮れていれば、という条件付きではありますが…。

「呪【ノロイエ】家」
(2017年/大沢真司監督)

 

冒頭に小ネタが二つ。三つめに目玉(?)。全50分。

ネタとしてはまあまあなのですが、看過できない落ち度がふたつ(特に頭の短編)。それは、

  1. カメラワークが酷い
  2. 映り込んだものに対するリアクションがない(薄い、ではない)。


これ結構致命傷です。

事故物件を訪問して映像を記録するのが趣味、という設定なのに、常にカメラがせわしなく揺れ動いているのってどうよ(まさかそれがリアリズムだとか思っていないよね)。

今日日、映像記録として残すのならどんなド素人でも、まず建物全景をFIX、無駄なズームイン、ズームアウトは極力避け、パンはゆっくりとか最低限心掛けるものでしょう。

あと、もし撮影者がファインダー覗きながら録画しているのなら、あからさまに変なものが映った時は反応しなさい。

f:id:zombieito:20210414140801j:plain

こういうのが見えたら悲鳴のひとつくらいあげるだろ普通。


最初から「御覧頂けただろうか」的REPLAY編集を前提に撮っているから、ドキュメントとして不自然極まりないものになっちゃっています。

とは言え、最初の「マンションの廊下の奥でしゃがんで揺れている黒い影のような少女」のビジュアルはなかなかに怖かったですし、直後の映像はちょっと声出るくらいビビりました。

f:id:zombieito:20210414140858j:plain


で、大ネタ「心中の家~ルームロンダリングする女~」

ルームロンダリングについては本作と同年に同タイトルの映画(ホラーではなくハートウォーミング系心霊コメディ)が公開され、翌年にはその後日談がTVドラマ化されているのでご存じの方も多いと思いますが、要するに事故物件に短期間居住して事故の告知義務を消滅させる(告知義務が発生するのは事故直後の入居希望者のみ)お仕事です。

ルームロンダリングを生業としている暮木楓(結構美人)が一家心中のあった戸建てで3ヵ月生活するというドキュメント(勿論フェイク)。

賃貸契約の事実があればいいのだから、真面目にそこで生活しなくてもいいんじゃね?とも思いますが、彼女、心霊現象を撮影して金に換えるというもうひとつのアルバイトもしているので、ルンルンで定点カメラ設置して、手持ちセカンド携えて…。

f:id:zombieito:20210414141014j:plain


起きる現象は超地味ですが、「パラノーマル・アクティビティ」的なものがお好きな方は結構イケるかも。

あと彼女の寝相の悪さがリアルで好き(笑)。

f:id:zombieito:20210414141050j:plain


28日目にそこそこ大き目の怪異が襲ってくるのですが、ここで彼女が突然ビビリモードになってしまうのは納得いきません。

心霊現象撮影=現金収入確定なんだから、ここは『おっしゃー、キタキタキター!わっせろーい!』くらいはしゃいでくれないと。

この手の投稿系は追っかけ不能なくらい数が多い(しかも当たり外れが大きい)ですが、折を見て拾っていきたいと思います。

★ご参考【稲川淳二必殺の音声解説を聞け!】

 

 

f:id:zombieito:20210410014824g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 


----------------------------------------------------------------------

★本日4月23日は野村芳太郎監督(1919~2005)の誕生日。

この人の作品で外れがあるのか?と思えるくらい名作傑作製造機。

お気に入りは多々ありますが、今日は問答無用なこの2本で。

 

【♪顔は恐らく知らないけれど】追悼:フェリックス・シラ【♪身体は何故か知っている】

f:id:zombieito:20210421085232j:plain

俳優にしてスタントマンのフェリックス・シラがお亡くなりになりました。

4月16日。84歳。

素顔を見て「ああ、この人ね」と思う人はほとんどいないと思いますが、役柄を聞けば「ああ、その人ね」となるのではないでしょうか。

知名度1番はスター・ウォーズ/ジェダイの復讐(しつこいようですが私にとって本作は「帰還」ではなく「復讐」)」のイウォーク(のどれか←数が多すぎて特定不能)。

あと何度も言うけどルーカスよ、

 
本家スター・ウォーズのパロディであるスペースボールで砂漠の民ディンク(元ネタはep4のジャワ)も演じています。

f:id:zombieito:20210421085517j:plain


イウォークほどではないですが、沢山いるので特定は困難(一応顔出ししているシーンはあるのでよく見ればわかると思いますが今回はスルー)。

★作品レビューはこちら。

 

同じような立ち位置で「ガバリン」のリトル・クリッター(のどれか)、「バットマン・リターンズ」のペンギンの部下の誰か、というのもありますが、代表格なのが、

「ブルード/怒りのメタファー」のクリーチャーの誰か。

いやマジ怖いっす(タイトル写真参照)。

★作品レビューはこちら。

 

で、何と言ってもシラちんの私的ナンバーワンキャラは、

「マニトウ」の齢300歳のネイティブ・エンティティ、ミスカマカス。

f:id:zombieito:20210421085744j:plain

見よ、この問答無用の存在感!


★作品レビューはこちら。

 
ご冥福をお祈りいたします。

 

f:id:zombieito:20210410014824g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 


--------------------------------------------------------------------- 

★本日4月22日はジャック・ニコルソン(1937~)84歳の誕生日(おめでとうございます!)

「シャイニング」ネタはさんざっぱら使いまわして来たので、今回はヒューマンな1本を。

 ★もうひとり、本日はジョニー・トー監督(1955~)の誕生日でもあります(おめでとうございます!)

実は結構な数レビューしているんですねぇ…(しみじみしてどうする?)

どれも(色んな意味で)見応えたっぷりですが、今日はこの2本立てで。

 

 

【その大風呂敷には】リベンジ・キラー【誠意がない】

f:id:zombieito:20210321173632j:plain

B級アクションに大風呂敷は必需品。

ある意味「広げてなんぼ」ですらあります。

ありますが…。

「リベンジ・キラー」
(2014年/ブライアン・ボックブレイダー監督)

 

まずはアマゾンの紹介(煽り?)文を見てみましょう。

屈辱は、恥辱をもって返す。『スピード』のスタッフが車を舞台に再び描いた、ブラッド × リベンジ × カーアクション! 男たちから誘拐され、ズタボロにされた少女。―今、少女は、身体を言葉を武器を駆使して死力をつくしすべての男たちに復讐を果たす!

これだけ読むと「アイ・スピット・オン・ユア・グレイヴ」に連なる《レイプ犯に100倍返し》ものに見えますが全然違います(実に誠意のない大風呂敷)。

メキシコの麻薬王ダニー・トレホ!)の娘エマ(マイアラ・ウォルシュ)を誘拐したボンクラ3人組ジャック、マックス、シェーン。

身代金は500万ドル。命知らずにも程がある要求ですが、リーダー、ジャックの目的は金ではありませんでした(ドライバーとして雇われたシェーンは重度のヤク中でこいつだけは金目当て)。

一方、突然の誘拐劇に巻き込まれたエマ。彼女にもこの機会にどうしても父に確認しなければならない事がありました。

全く足並みの揃わない3人組とエマの思惑がすれ違うシチュエーション・サスペンスです。

f:id:zombieito:20210321174143j:plain


という訳でエマは暴行されません。身代金要求ビデオ撮る時に殴られているので、暴行されたと言えなくはないですが、観客の期待する暴行ではないですね。

当然そこから「復讐」に走るというベクトルもなく(正当防衛とか窮鼠猫を噛む的なバイオレンスはあります)。

ほぼ全編通してカメラが車から外に出ない(中から外を映す事はある)という縛り付きですが、不思議と閉塞感は覚えません。

「スピード」のスタッフが車を舞台に~とか言っていますが、見渡す限り「スピード」に関わっている人なんかどこにも。

かろうじてアソシエイト・プロデューサーとキャスティング・アソシエイトを兼任したレナ・バンクスが「スピード」に出演していますがノンクレジットな上に役名Pedestrian(歩行者!)ですよ。

せめてスタントとかガンエフェクトとかで被っていて欲しいものです(因みにカーアクションシーンとか1コマもありません)。

では内容が駄目駄目かと言うと、そんなことはなく、「いいんだよ、細けぇことは!」な不都合を勢いだけで押し切る疾走感が低予算の誉れを上塗りしていていい感じでした。

トレホと共に特別ゲストでトニー・キャンディマン・トッドが。

f:id:zombieito:20210321174341j:plain


トニーにオファー出したのってトニーのシーン撮影する二日前だったそうです。

そこいら辺のやっつけ感も微笑ましい「これ多分タランティーノの好みだろうなぁ」な一遍でした。

★エマ役のマイアラ・ウォルシュは「サマー・インフェルノ」に出ていましたね。

 

 

f:id:zombieito:20210217221929g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

----------------------------------------------------------------------

★本日4月21日はイギー・ポップ(1947~)の誕生日(おめでとうございます!)

曼荼羅畑的にはテーマ曲を手掛けたこの作品が推し。


★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー

 

【駄犬という賛辞】恋と呼ぶには気持ち悪い ♯1-3【クズですが何か?】

f:id:zombieito:20210418012718j:plain

『もういいから、早く帰れ、駄犬!』

『お褒め頂きありがとうございます!』

『褒めてません!ハウス!』

サブタイつけるとしたら「クズですが何か?」って感じでしょうか。

「恋と呼ぶには気持ち悪い/第1~3話」
(2021年4月5日~TOKYO MX放送/中山奈緒美監督)

 

友人曰く『今まで自分から告った事ない下半身最低・顔だけ野郎』のイケメンエリートサラリーマン天草亮。

駅で貧血、顔面から階段垂直落下…のところ、見知らぬ女子高生のおかげで命拾い。

亮の顔色が悪いのは朝食を抜いたせいと思った女子高生は自分の弁当渡して学校へ。

亮が帰宅すると何故か家に命の恩人女子高生が。

何と彼女、有馬一花は妹・理緒のクラスメイトだったのでした(わぁ偶然!)。

いつもの調子で『お礼に何でもしてあげるよ。キスとかどうかな』

対する一花の反応は『気持ち悪い』

f:id:zombieito:20210418013211j:plain


『気持ち悪い…助けてもらったお礼が自分って、何考えてるんですか!?』

過去の経験に照らしてあり得ないリアクションをされた亮はキュン死。

f:id:zombieito:20210418013438j:plain


『…素晴らしい!感動したー!感動いたしました!こんな気持ちは初めてです。一花さん、あなたは運命の女性だ!』

変態の チャクラを開く 罵詈雑言


以来、一花の迷惑顧みず、ひたすら押しまくり告りまくり、容赦の無い罵声を浴びて更に活気づき…。

まあ、亮は控えめに言ってクズなんですが、ここにM属性が加わって、その真剣さにギャップ萌え…いや違うか。

サブキャラでは亮の友人の益田(フリーのカメラマン)がいい感じ。

『あ益田? お前フォトショ使えるよな。30分で参考書の表紙作れ』

f:id:zombieito:20210418013654j:plain


本筋と全然関係のない会話ですが、黙って無茶振りに応える益田含めて、いいやりとりだなぁと思いました。


 

f:id:zombieito:20210410014824g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。



--------------------------------------------------------------------- 

★本日4月20日は作家・内田百閒(1889~1971)の命日。

百閒の作品見るならこちらを。

そして、お人柄知りたければこちらを。

★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー

【メキシコの刑務所と言えば】キック・オーバー【ルチャ・リブレ】

f:id:zombieito:20210228023334j:plain

冒頭、いきなりのカーチェイス

マフィアの金をがっつりくすねたクラウンマスクのメル・ギブソンがメキシコとの国境沿いを逃げる逃げる。

追うパトカー。詰まる距離。こうなったらイチかバチか。不自然に積み上げられた土を踏み台にしてメキシコ側へ国境ジャンプ…着地失敗。

倒立前転&横転ストップ。

駆けつけたメキシコ警察は「書類作るのめんどくせーからそっち(米国側)で掴まえた事ににして」とやる気なし…が。

f:id:zombieito:20210228024035j:plain


車の中に札束が唸っているのを見て前言撤回。

『どう見てもメキシコ内だし。こいつはうちで処理しよう。よーし、とっとと荷物車に積み込め』

普段は絶対に見せないであろう手際の良さでマッハ撤収。

有り金むしり取られたメル・ギブは “エル・プエブリート"へ。

そこは「無法」と「自由」が紙一重、人の命が一山幾らの史上最悪の刑務所でした。

「キック・オーバー」

(2012年/エイドリアン・グランパーク監督)

 

史上最悪ですが、メル・ギブなので悲壮感ゼロ。

景気よく流れるご陽気なマリアッチに乗って、その場の機転と度胸で金と武器と情報を入手して虎視眈々と脱獄の機会を窺いますが…。

メル・ギブに金盗られたマフィア、その金着服したメキシコ汚職警官、このヤマにいっちょ噛みしたい米国領事館、そして刑務所を牛耳る肝機能不全のボスとボスの肝臓ドナーの少年とその母親。

頭数は多いですが、お話はストレートで単純明快。派手なアクション(刑務所内でプチワイルドバンチな銃撃戦とか)もあって十分に楽しる反面、特段語る所もないのが痛し痒し。

という訳で今回は小ネタを少々。

何とこの刑務所、所内で賭けルチャ・リブレ興行とかやっています。

しかも試合がマグノ対ブルー・デーモン・ジュニアという好カード。

f:id:zombieito:20210228024318j:plain


マグノは「空中殺法の王者」と紹介されている通り、ムーンサルト系の飛び技を得意にしており、本作公開前年の2011年10月にはRJブリュワーとマスカラ・コントラ・カベジェラを行い勝利。ブリュワーの髪を剃ったりしています。

ブルー・デーモン・ジュニアは2008年10月にNWA世界ヘビー級王座を奪取、ルチャドーラ―初の王者になった実力者。

1993年には日本でウルティモ・ドラゴンの持つUWA世界ミドル級王座にも挑戦しています。得意技はシャープ・シューター(サソリ固め)。

残念ながら映るのはちょっとだけ。もーちっと試合が観たかったなぁ。

本作では銃火器が多数登場。メル・ギブの得物をハンドガン、ライフルからひとつずつ。

メル・ギブがトイレで用足し中(大)の男襲って奪った(襲った際に便器に落ちたものを拾った)のがM1911A1

f:id:zombieito:20210228024409j:plain


M1911はコルト・ガヴァメントとして名高いですが、A1はこれの改良型。

見た目の違いはA1の方が引き金の引き代が狭いことと、グリップ・セーフティが長い(後端が延長されている)こと。

ここ一番で大いに役立ってくれました。

今回のメル・ギブはUS ARMYで狙撃手だったという「リーサル・ウェポン」と同一設定。

後半、スナイパーライフルとして使用するのがアーマライトAR18(「うぽって」のいちはちですね)。

M16A1の安価な代替品というコンセプトで設計されたアサルトライフルです。

f:id:zombieito:20210228024512j:plain


至近距離でも遠距離でも、腕の確かなメル・ギブおじさんでした。

因みに本作の原題は「GET THE GRINGO」なのですが、英国公開版だけは「HOW I SPENT MY SUMMER VACATION」。作品的には「GET THE GRINGO」の方が合っていると思いますが、「HOW I SPENT MY SUMMER VACATION」のちょっと詩的な感じも捨てがたいです。


★折角なのでメル・ギブおじさんの出演作をひとつふたつ。 

ついでなのでこちらも。

 

 

f:id:zombieito:20210217221929g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。

 

---------------------------------------------------------------------

★本日4月19日はヘイデン・クリステンセン(1981~)の誕生日(おめでとうございます!)

ヘイデンと言えば、この役しか思い浮かびませんが、この仕事受けたのは吉だったのか凶だったのか…。


★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー