デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ルームロンダリングというお仕事。 呪【ノロイエ】家

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ホラー映画と投稿画像の最大の違いは前者にはドラマが必要ですが、後者には不要という事でしょう。

ブツ切れ・剝き出しの心霊映像には、うっかり写真の片隅に「映っているはずのないもの」を発見してしまった時と同じ理屈抜きの恐怖があります。

ただし、上手に撮れていれば、という条件付きではありますが…。

「呪【ノロイエ】家」
(2017年/大沢真司監督)

 

冒頭に小ネタが二つ。三つめに目玉(?)。全50分。

ネタとしてはまあまあなのですが、看過できない落ち度がふたつ(特に頭の短編)。それは、

  1. カメラワークが酷い
  2. 映り込んだものに対するリアクションがない(薄い、ではない)。


これ結構致命傷です。

事故物件を訪問して映像を記録するのが趣味、という設定なのに、常にカメラがせわしなく揺れ動いているのってどうよ(まさかそれがリアリズムだとか思っていないよね)。

今日日、映像記録として残すのならどんなド素人でも、まず建物全景をFIX、無駄なズームイン、ズームアウトは極力避け、パンはゆっくりとか最低限心掛けるものでしょう。

あと、もし撮影者がファインダー覗きながら録画しているのなら、あからさまに変なものが映った時は反応しなさい。

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こういうのが見えたら悲鳴のひとつくらいあげるだろ普通。


最初から「御覧頂けただろうか」的REPLAY編集を前提に撮っているから、ドキュメントとして不自然極まりないものになっちゃっています。

とは言え、最初の「マンションの廊下の奥でしゃがんで揺れている黒い影のような少女」のビジュアルはなかなかに怖かったですし、直後の映像はちょっと声出るくらいビビりました。

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で、大ネタ「心中の家~ルームロンダリングする女~」

ルームロンダリングについては本作と同年に同タイトルの映画(ホラーではなくハートウォーミング系心霊コメディ)が公開され、翌年にはその後日談がTVドラマ化されているのでご存じの方も多いと思いますが、要するに事故物件に短期間居住して事故の告知義務を消滅させる(告知義務が発生するのは事故直後の入居希望者のみ)お仕事です。

ルームロンダリングを生業としている暮木楓(結構美人)が一家心中のあった戸建てで3ヵ月生活するというドキュメント(勿論フェイク)。

賃貸契約の事実があればいいのだから、真面目にそこで生活しなくてもいいんじゃね?とも思いますが、彼女、心霊現象を撮影して金に換えるというもうひとつのアルバイトもしているので、ルンルンで定点カメラ設置して、手持ちセカンド携えて…。

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起きる現象は超地味ですが、「パラノーマル・アクティビティ」的なものがお好きな方は結構イケるかも。

あと彼女の寝相の悪さがリアルで好き(笑)。

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28日目にそこそこ大き目の怪異が襲ってくるのですが、ここで彼女が突然ビビリモードになってしまうのは納得いきません。

心霊現象撮影=現金収入確定なんだから、ここは『おっしゃー、キタキタキター!わっせろーい!』くらいはしゃいでくれないと。

この手の投稿系は追っかけ不能なくらい数が多い(しかも当たり外れが大きい)ですが、折を見て拾っていきたいと思います。

★ご参考【稲川淳二必殺の音声解説を聞け!】

 

 

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★本日4月23日は野村芳太郎監督(1919~2005)の誕生日。

この人の作品で外れがあるのか?と思えるくらい名作傑作製造機。

お気に入りは多々ありますが、今日は問答無用なこの2本で。