デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【色が抜け落ちる事で】シン・ゴジラ:オルソ【矜持と画角が鮮明に】

シン・ゴジラ」劇場鑑賞時のレビューで「細かいストーリー等はソフトが発売された頃にまた」なんてことを書きました。

BDは発売と同時にゲットしましたが、シュリンクも解かぬまま棚の肥し(積みレイ?←積みブルーレイだと言いにくい)に。

ひょっとして「シン・ゴジラ」は私にとっては「出オチ作品」だったのか?

などと悩みつつ、約7年9ヶ月ぶりの鑑賞。

結果は…ああ、やっぱり面白いわ。

シン・ゴジラ・オルソ」(2016/2023年/庵野秀明総監督)

ゴジラ-1.0」公開記念イベントに合わせて作られたモノクロ版(オルソはモノクロフィルムのひとつ「オルソクロマチックフィルム」から)。

はじめに企画ありきのモノクロ化なので、正直必然性はあまり…。

演出なり編集なりに変化を加えた「別バージョン」なら新鮮味もあったのでしょうが、まんま素直にモノクロ化しただけなので、ちょっと腰砕けではありました。

とは言え、色彩が抜け落ちたおかげで、人の感情の機微とか立場立場の矜持と言ったものがより伝わりやすくなったような気はします。

『今より武器の…無制限使用を…許可します』


人口密集地で許可されたミサイルの使用。周りの意見に流されがちだった内閣総理大臣・大河内清次(大杉漣)の決断。

『こんな事で歴史に名を残したくはなかったなぁ…』


殉職した大河内の後を継いだ内閣総理大臣臨時代理・里見祐介(平泉成)のボヤキ。

狸か日和見か昼行燈かと思わせて実は…。

自衛隊も米軍もゴジラの前に緘黙。当然、米国(=国連軍)の選択は熱核兵器

『そら選択肢としてはアリだろうが…選ぶなよ』

それでも米国に、熱核兵器に頼らないゴジラ殲滅を模索する「はみ出し者の梁山泊」。

『サンプルをバラ撒いていたおかげで、各種照合が進みます。確かに、智恵は多い方がいいですね』


核兵器使用までの猶予は2週間。僅か2週間で360万人の疎開

『避難とは、住民に生活を根こそぎ捨てさせることだ。簡単に言わないで欲しいなぁ』


『遠いアジアの出来事だからって無茶苦茶言いやがる』

『たとえここがニューヨークであっても、彼らは同じ決断をするそうだ』


内閣官房副長官(後、内閣府特命担当大臣)・矢口蘭堂長谷川博己)らによる「矢口プラン(血液凝固促進剤の経口投与)」を日米共同作戦とした「ヤシオリ作戦(ヤシオリの語源は八塩折之酒。日本神話より、ヤマタノオロチを倒す際に用いられた酒のこと)」。

その立案に貢献した統合幕僚長・財前正夫(國村隼)に矢口が謝辞を述べると、

『礼はいりません。仕事ですから』


どの立場であっても「プロ」の発言は気持ちの良いものです。

もうひとつ、モノクロになった事で際立ったのがアングル。


抜けと明暗がハッキリした事で、アングルの取り方の巧さが際立ちました(日本家屋の町並みとかも)。


陸上作戦の「シンゴジ」、海上作戦の「-1.0」。映画としての完成度とか大衆性とかの意味では「-1.0」なのかもしれませんが、単純に好みだけで言えば「シンゴジ」の(色んな意味で)未成熟な所が好きだなぁ(ゴジラ映画に家族と子供とメロドラマはいらねぇよなぁという事なのですが怒られそうなので自粛します)。

★劇場鑑賞時のレビューはこちら。

★同じ監督(樋口真嗣)が撮ったとは思えないトンデモ超大作。

★同じ監督(庵野秀明)が撮ったとは思えないトンデモ迷走作。

 

 

 

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★本日5月18日はイエスのキーボーディスト、リック・ウェイクマン(1949~)の誕生日(おめでとうございます!)

リック・ウェイクマンが手掛けたサントラと言えば…

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