デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【メキシコの刑務所と言えば】キック・オーバー【ルチャ・リブレ】

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冒頭、いきなりのカーチェイス

マフィアの金をがっつりくすねたクラウンマスクのメル・ギブソンがメキシコとの国境沿いを逃げる逃げる。

追うパトカー。詰まる距離。こうなったらイチかバチか。不自然に積み上げられた土を踏み台にしてメキシコ側へ国境ジャンプ…着地失敗。

倒立前転&横転ストップ。

駆けつけたメキシコ警察は「書類作るのめんどくせーからそっち(米国側)で掴まえた事ににして」とやる気なし…が。

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車の中に札束が唸っているのを見て前言撤回。

『どう見てもメキシコ内だし。こいつはうちで処理しよう。よーし、とっとと荷物車に積み込め』

普段は絶対に見せないであろう手際の良さでマッハ撤収。

有り金むしり取られたメル・ギブは “エル・プエブリート"へ。

そこは「無法」と「自由」が紙一重、人の命が一山幾らの史上最悪の刑務所でした。

「キック・オーバー」

(2012年/エイドリアン・グランパーク監督)

 

史上最悪ですが、メル・ギブなので悲壮感ゼロ。

景気よく流れるご陽気なマリアッチに乗って、その場の機転と度胸で金と武器と情報を入手して虎視眈々と脱獄の機会を窺いますが…。

メル・ギブに金盗られたマフィア、その金着服したメキシコ汚職警官、このヤマにいっちょ噛みしたい米国領事館、そして刑務所を牛耳る肝機能不全のボスとボスの肝臓ドナーの少年とその母親。

頭数は多いですが、お話はストレートで単純明快。派手なアクション(刑務所内でプチワイルドバンチな銃撃戦とか)もあって十分に楽しる反面、特段語る所もないのが痛し痒し。

という訳で今回は小ネタを少々。

何とこの刑務所、所内で賭けルチャ・リブレ興行とかやっています。

しかも試合がマグノ対ブルー・デーモン・ジュニアという好カード。

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マグノは「空中殺法の王者」と紹介されている通り、ムーンサルト系の飛び技を得意にしており、本作公開前年の2011年10月にはRJブリュワーとマスカラ・コントラ・カベジェラを行い勝利。ブリュワーの髪を剃ったりしています。

ブルー・デーモン・ジュニアは2008年10月にNWA世界ヘビー級王座を奪取、ルチャドーラ―初の王者になった実力者。

1993年には日本でウルティモ・ドラゴンの持つUWA世界ミドル級王座にも挑戦しています。得意技はシャープ・シューター(サソリ固め)。

残念ながら映るのはちょっとだけ。もーちっと試合が観たかったなぁ。

本作では銃火器が多数登場。メル・ギブの得物をハンドガン、ライフルからひとつずつ。

メル・ギブがトイレで用足し中(大)の男襲って奪った(襲った際に便器に落ちたものを拾った)のがM1911A1

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M1911はコルト・ガヴァメントとして名高いですが、A1はこれの改良型。

見た目の違いはA1の方が引き金の引き代が狭いことと、グリップ・セーフティが長い(後端が延長されている)こと。

ここ一番で大いに役立ってくれました。

今回のメル・ギブはUS ARMYで狙撃手だったという「リーサル・ウェポン」と同一設定。

後半、スナイパーライフルとして使用するのがアーマライトAR18(「うぽって」のいちはちですね)。

M16A1の安価な代替品というコンセプトで設計されたアサルトライフルです。

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至近距離でも遠距離でも、腕の確かなメル・ギブおじさんでした。

因みに本作の原題は「GET THE GRINGO」なのですが、英国公開版だけは「HOW I SPENT MY SUMMER VACATION」。作品的には「GET THE GRINGO」の方が合っていると思いますが、「HOW I SPENT MY SUMMER VACATION」のちょっと詩的な感じも捨てがたいです。


★折角なのでメル・ギブおじさんの出演作をひとつふたつ。 

ついでなのでこちらも。

 

 

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★本日4月19日はヘイデン・クリステンセン(1981~)の誕生日(おめでとうございます!)

ヘイデンと言えば、この役しか思い浮かびませんが、この仕事受けたのは吉だったのか凶だったのか…。


★本日のTV放送【13:40~テレビ東京午後のロードショー