デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

最強メンヘラー決定戦。 ザ・スクリブラー

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奴らは私たちを機械で制御しようとする。
  それで万事解決と思っている。
  だが大切なことをふたつ見落としている。
  ひとつはイカレた奴は無茶をするってこと。
  もうひとつは何にでも副作用があるってこと

 The conformists have machines on their side.
They think they've got all the angles covered.
But they forgot two important things.
Crazy people, we don't play by the rules.
And there are always side effects.


う~ん、ご自身が多重人格者だったり、その手のお友達とお付き合いしている方々からはそれなりの共感を得ているようですが、残念ながらそこまで恵まれた環境にないので『要するに何だったんだ?』が素直な感想なのですが、この冒頭のモノローグ『イカレた奴は無茶をする』ってとこだけはするりと腹に落ちました。

メンヘラヒロイン覚醒絵巻。

「ザ・スクリブラー」(2014年/ジョン・スーツ監督)

スキ(SUKI/ケイティ・キャシディ)は多重人格障害者。その人数二桁超え。ひとり人口過密地帯。

医者は重複脳焼滅装置なる謎の機械を使ってスキの人格削減をするという人格リストラを敢行中(電パチっぽい。使用する毎に本体に表示される人格数が減少してリストラの進行具合が分かる仕組み)。

そこそこの人格数に落ち着いた頃合いでスキは病院からアパートに移住。

そこは社会不適合者の集まる厚生施設。

セックス依存症に衣服恐怖症、自傷癖に攻撃性人格障害。壁の向こうも床の下もいるのは全員メンヘラー。

原作はダン・シェイファーのグラフィック・ノベルで脚本もダン(←この人「ゾンビハーレム」の脚本も書いていますね)。

雰囲気はこんな感じ。

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着いた途端、目の前で投身自殺が…。


スキが重複脳焼滅装置を使うたびに自殺者が出るので、映画の構造そのものをあれこれ邪推(住人は全部スキの人格のメタファーなんじゃないかとか、ここでの生活が治療プログラムで目覚めれば病院とか)してしまいましたが、そんな捻りはどこにもなく。

人格のひとつスクリブラー(言葉と同時に文字も連ねる必殺落書き人)が重複脳焼滅装置を魔改造(ちょっとクローネンバーグっぽくお色直し)、スキの人格と能力を解き放ち、メンヘラ・スーパー・ヒロインが覚醒…。

え、そういう話だったの!?

山田正紀の「地球精神分裂記録」的なオチを勝手に想定していたので激しい肩透かし。

敵は『アタシのオトコと寝た女は全員ぶっ殺す!』な攻撃性人格障害

メンヘラー頂上対決(なんだかなぁ…)。

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話がアパートの中で完結してるわ、アクションヌルいわ、スキのコスチュームがハロウィンのガイコツスーツだわで脱力感満開。

スキって名前が聞きなれなかったので、検索かけましたら、

The name Suki is a girl's name of Japanese origin meaning "loved one". One of the most familiar and usable Asian names.

なんて解説が引っかかってきましたが、後半は違うだろ。

 

★ご参考 

mandarabatake.hatenablog.com

 

 

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