80年代に「うろつき童子」が先鞭をつけ、今や立派なエロジャンルのひとつとして確立された《触手もの》。
邦題とは言え、そのまんまのタイトルを冠した本作。ついた肩書は「SF」「エロティック」「ホラー」。
全部かすってはいます。だから嘘ではありません。
謎の触手くんは隕石に乗ってやってきました。ラブクラフトの「異次元の色彩」を彷彿とさせる宇宙的恐怖です。
勿論、触手くんは好んで女体に絡みつきます。しかもこの世のものとも思えぬ快楽を与えてくれる。間違いなくエロティックです。
が、しかし…。
出てきたのはメキシコどん詰まり一家の痴話喧嘩なのでした。
「触手」(2016年/アマト・エスカランテ監督)
会話がスペイン語なのでスペインが舞台かと思ったらメキシコでした(因みに本作はメキシコ、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スイスの合作。わぁ~るどわいど!)。
二児の母アレハンドラは人生煮え煮え。子供はアレルギー持ちだし旦那DVだし弟ホモだし義母うるさいし。
裏で旦那は弟とデキてるし…って弟と!? そっちのエロかよ!?
しかも、この2人、攻め受け逆転可能なスイッチヒッター。器用だなメキシコ人。
ある日、弟・ファビアンの勤務する病院に何か鋭い牙で腹部を噛まれた女、ヴェロニカが来院。
あくまで「友達」として意気投合したファビアンに、ヴェロニカはある“秘密の場所”を教えます。
森の奥に佇む小屋。その奥には触手くんが…。
どうやら触手くん、相手の種にも性別にも年齢にもこだわりがないみたいです。
触手くんが乗って来た(?)隕石が落下したと思しきクレーターには森中の生き物がやってきて乱交パーティ(一応同じ種同士という慎みはアリ)。
犬が、ヤギが、鳥が、亀が、トカゲが発情祭り。
気の狂れた鳥獣戯画ですが、こういう事を思いついて尚且つ絵にしてしまうのはなかなかの才ではないかと思います。
やがてアレハンドラも触手くんの虜に…。
色々と深読みは出来ますが、手触りだけで言えば完全に「ポゼッション」(1981)リスペクト。
上:ポゼッション 下:触手
妙な期待をすると完全に肩透かしですが、退屈することなく魅入ってしまう画像ではありました。
おまけ
元祖触手「北斎漫画」(1981年)
タコと戯れ「卍」でレズって今は犬の妻。忙しいな、樋口可南子。
★ご参考①宇宙的恐怖と言えば…
★ご参考②遠い親戚のように思えなくもない…
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★本日11月18日は「集団自殺の日」(いや、そんな記念日はございませんが)。
1978年のこの日、ガイアナ・ジョーンズタウンで、新宗教「人民寺院」の教祖ジム・ジョーンズとその信者が集団自殺。914人が死亡しました。
事の顛末を知りたい方はこの2本をご覧ください。