『シカゴに行っているはずだったのに!』
全く以て、友人・同僚はマトモな人間を選びたいものです。
今、リメイクしたら、本作の主人公なんか真っ先に喰われる役回りだと思います(「ザ・フィースト」みたいに)。
「巨大生物の島」(1976年/バート・I・ゴードン監督)
ストーリーは簡単。風光明媚な離島で生き物が巨大化して大騒ぎ。
見どころは、ミニチュアセットの箱庭に本物のネズミを投入した「なんちゃって」大ネズミですが、これはこれで味わい。
「本物×ミニチュア」、更に「役者との光学合成」、「ハリボテ(良く出来ている)×役者」など場面によって手法を変えているので、そこそこ迫力もあります(「お、このアングルいいじゃん」と思えるカットが幾つかある)。
なのでよく言われる特撮の稚拙さは感じませんでした(最初に出てきた巨大ニワトリには爆笑しましたが)。
問題は主人公のキャラ設定。これが酷い。
フットボールの選手なのですが、遠征前に気分転換で訪れた離島の森で仲間が怪死。
検死の結果は「体内毒素から考えて少なくとも250匹以上の蜂に刺されたと思われる」(実際には巨大化した蜂数匹に刺された)。
そう言えば、近くの農場に化け物みたいなニワトリがいたな。おばさんが変な餌与えていた。原因はあれか。ネズミも喰ってたみたいだし、こりゃヤバイんじゃないか…。
と、ここまで思い至ったら、あとは地元警察か軍に任せりゃいいものを「農場の人を助けなきゃ」とか言って、嫌がる同僚引き連れて再び島へ(同僚大迷惑)。
変な餌の元凶は農場の裏庭に湧いた謎の物質。こいつを生き物の幼体が摂取すると巨大化するらしい。
この謎物質の利権を買いに来た怪しいおっさんと、同伴の化学者(パメラ・フランクリン!)、キャンピングカーで旅行に来ていたカップル(女臨月)、農場のご婦人(旦那は一足先にネズミに喰われてあの世生き)、そして主人公とその同僚(チームの広報担当)が登場人物。
もう明らかにヤバイ状況なんだから、とっとと荷物まとめて逃げるが吉なのに、何故かこのフットボーラー「やっつけなくちゃ」という使命感に駆られて避難拒否(いや最初の動機は「助けなきゃ」だったろ。いつ宗旨替えしたんだ)。
状況把握だと言ってはジープ飛ばして東へ西へ。
お前、ただのフットボーラーだろ? それとも実はフラッシュ・ゴードンなのか?
「早く皆で逃げよう(車で強行突破だ)」というおっさんの言う事には耳を貸さず、せっせと散弾解体してダイナマイト作って、火炎瓶作って…。
お前、この状況楽しんでいるだろ?
謎物質を買い付けに来たおっさんが強欲の象徴として悪人扱いされていますが、いやいやいや、この人が一番まともよ。
私には主人公がただの狂人にしか見えませんでした。
結果、犠牲者が次々に出るのですが、このフットボーラーどこ吹く風で「いいからとっとと火炎瓶を作れ!」(笑)。
恐るべし正義マン。
監督のニックネームは名前の頭文字を繋いでBIG。その名の通り「戦慄!プルトニウム人間」「巨人獣」「吸血原子蜘蛛」「巨大蟻の帝国」など巨大化一代のBIG-MAN。
★例えばこんな作品。
観た人誰もが気にする「ネズミを本当に殺したのか?」という疑問に対し、「ネズミはペットショップから300匹借りて全部返した。1匹も殺してない」とか監督は言い垂れているようですが、絶対嘘だと思います。
余談ですが、「ヘルハウス」から僅か3年でパメラ・フランクリンが一気におばさん顔になってしまったのが個人的にエライ事ショックでした。
(パメラは本作を最後に映画に出演しておりません。※右が「ヘルハウス」)。
★ご参考① ヒーローの運命は…。
★ご参考➁ パメラと言えば…
★ご参考➂ 巨大化しない映画も撮っています。