『これが本当の極道いうもんすかね。もしそやったら、俺が今まで会うてきた奴らは、極道やのうて一体なんやったんですかね』
九州からプロボクサー目指して上京したものの喧嘩喧嘩でライセンス剥奪。流れ着いた埼玉で1から始めたヤクザの修行。
出会ったのは「首落としの倉木」と呼ばれるキ印ヤクザ。
それは本物の極道でした。
「最強独立組織」
(2014年/壷井詠二監督)
埼玉の地方ヤクザ西岡一家に流れ着いた鮫島(水元秀二郎)は、屯っていたチンピラ二人をボコって舎弟にするとシノギの新規開拓に。
しかし、この舎弟のひとり大島がつい先日、対立する伊東組を破門されたばかりだったからさあ大変。
破門回状の出た人間を雇い入れるのは御法度中の御法度。
しかも、伊東組は西のてっぺん大和田組の傘下。西岡一家は東のてっぺん錦城会の傘下。ハンドル捌きを誤ると「代理戦争」の端緒を開くことに。
大島のガラを押さえた伊東組から西岡一家に出頭命令。
鮫島は同じ錦城会に属する伝説の極道「首落としの倉木」(白竜)に車を借り、カッコつけるに相応しい服を与えられて単身、伊東組へ。
エンコ落として詫び入れて一件落着ですが、倉木は「カッコがつきました」と報告に来た鮫島にシーバスリーガルのボトル振り上げ顔面殴打。
『働き盛りの大事な体、勝手にちぎってからに何がカッコがついただコラ!伊東みたいなチンカス野郎に…おいが口惜しかろが!』
鉄拳制裁雨あられ。
『恨み辛み以外でどつかれたんは初めてたい。大事にせい言うてもらえたこつは俺は初めてばい』
大島はまた見習い扱いの鮫島の舎弟。どちらも盃の経験無し。
『人一人の命ば預かるとぞ。借用書無しで2億も3億も貸し借りできんやろ。お前の誠意ば形にしてやれ』
倉木は自ら口にした盃を鮫島に流し、鮫島は大島に盃を。
やがて倉木は錦城会に筋を通し、かつて自身が憧れた伝説の組長・永尾の名を冠した永尾組を立ち上げ、決して広域組織に道を譲らない「一本独鈷」を貫いていくことに…。
ただ、問題がひとつだけ。倉木は余命半年を宣言されておりました。
主役の二人が設定も実際も九州出身(佐賀伊万里出身の白竜、熊本出身の水元)なので、会話が全部九州弁。勢いがあります。
水元が若い時の哀川翔に雰囲気が似ていて跳ねっ返り具合もいい感じ。
永尾に惚れた倉木に鮫島が惚れる。侠気のバトンリレー。
こういう無駄にシリーズ化せず1本で綺麗にまとまった作品は結構貴重かもしれません。
時に本作の監督、アマプラもallcinemaもDVDのジャケですら「辻裕之」と表記しているのですが、本編クレジットは「壷井詠二」なんですよね。
名義を使い分けている感じでもない(辻監督は役者やる時は辻つん名義になりますが)のですが、何か大人の事情があったのでしょうか。
★壷井監督の他作品はこちら。
★そして一本独鈷と言えば、
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★本日12月2日はルーシー・リュー姐さん(1968~)の誕生日(おめでとうございます!)
実は「アリー・マイ・ラブ」のリンとか結構好きだったりするのですが、本日はオットコ前なこの1本を。
★本日のTV放送【18:30~BS日テレ/木曜は!特選時代劇】