『山王会は会社とちゃうねん。わしらサラリーマンとちゃうねん。山王会は日本一の任侠団体や。わしらそこで生きてる極道やないけ!その辺がちぃっと分かっとらん山辰の思い通りにさすわけにはいかんのじゃ!』
「制覇」(1982)では三代目の部屋住み運転手だった清水健太郎が立派に代紋背負う器になりました。
「実録・史上最大の抗争 義絶状」
(2002年/石原興監督)
史上最大の抗争とはご存じ山一抗争のこと。義絶状ってのは耳慣れないですが、山口組(劇中では山王会)が袂を別った一和会(劇中では丸和会)に送った絶縁状を指します。
元々は古代~近世の親子・親族の関係断絶を示す証文を指したそうです。
送り主は山口組四代目竹中正久(劇中では武田力也)、受領人は一和会会長山本広(劇中では山脇辰一)。
ここに山一抗争の幕が開きますが、お話はもう少し時間を遡り…。
三代目の死後、跡目の指名を受けた山本健一(劇中では…嗚呼もうややこしいから以下実名)が獄中死(正確には移送先の病院で病死)するという「制覇」終盤からスタート。
その後の「制覇」というよりは「激動の1750日」前半部のリブートと言う方が近いかもしれません。
「激動の~」でショーケンが演じた竹中正久に清水健太郎。同じく夏八木勲が演じた山本広に草刈正雄。草刈正雄のケツの穴の小さいインテリやくざぶりが実に“いい感じ”です。
「制覇」「激動の~」で岡田茉莉子が演じた三代目・姐には夏樹陽子が。
後に五代目となる渡辺芳則に清水宏次朗。この人、主役張らせると薄いですが、脇に回ると光ります。
竹中の実弟・竹中武が哀川翔。若い。2002年だから「龍虎兄弟」「金融破滅ニッポン 桃源郷の人々」の頃か。こっちの方がふっくらしている感じがしますね。
見せ場は何と言っても「継承盃」の儀式シーン。朗々と流れるような名調子に乗って手際よく手続きが進行していく様は観ていて心地よいものです。
抗争激化の中、悲劇(竹中暗殺)の匂いが立ち込めたところでEND。こんなところで切られると、つい続きが観たくなっちゃいますね。
★ご参考