解いてはならない封印の匣(はこ)。
妨げてはならない禁忌の眠り。
そして放ってはならない悪魔の遣い。
「死霊匣 SHIRYOBAKO」(2019年/ローレンス・ファウラー監督)
音だけ聞けば完全に「資料箱」。
原題は「THE JACK IN THE BOX」。びっくり箱です。
英国の歴史資料館に寄贈されたアンティークなびっくり箱。
それは開けたが最後、解き放たれた魔物君が6人の犠牲者をカウントするまで暴れ回る「悪魔の玉手箱」。
何となく呪われたおもちゃみたいなものを想像していたので、箱が出てきた時はちょっとびっくり。
…デカくね?
ただ造形・装飾とかはなかなか。恐らく製作費とアイデアをひねり出す時間の大半は、このびっくり箱のために費やされたのではないかと思います。
正直、設定と展開はザル。
魔物退治の方法が単純な上に公知に近い情報だったり、それまではサクサク殺しを重ねていたジャック君が最後のひとりの時だけ馬場かよ!?なスーパースローな動き(ヘロヘロになりながらコーナーポストに登る相手レスラーをリング中央で寝たまま待っている律儀感)になるとか、アリバイあるのに問答無用で主人公逮捕する無能警察(お約束ですが)とか。
それでも本作が捨てがたいのは、
という「なにそれルマルシャンの箱?」な趣きを湛えているから。
飛び出すクラウンも這い寄るクラウンもなかなかに味わいのある造型。
ども。はじめまして。ジャックです。
これでもう少しヒロインが美人で、箱にそれらしい曰くがあって、サスペンスかスプラッターのどっちかに振り切っていて、退治方法がもう少し凝っていたら(決められた時間に魔法陣を起動させてフランス語の呪文唱えないといけないとか)、いい感じの英国ホラーに仕上がったと思うのですが…。
ちょっと残念。
★フランス人玩具職人が作ったパズルボックスと言えば…
★本日2月5日はマイケル・マン監督(1943~)の誕生日(おめでとうございます!)
本日は「これぞマイケル・マン!」な王道作と「これもマイケル・マン!」な異色作を。
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