第二次世界大戦下のルーマニア山中に派遣されたドイツ軍。
ミッションは古き城砦(KEEP)の守護。内側の壁にはニッケルで作られた無数のヘッドレス・クロスが護符のように…。
中にひとつだけ銀製クロスが。欲望に目が眩んだドイツ兵がこれを引き剥がした時、城の内部で何かが目覚めた…。
異色づくめのホラー・ファンタジー。
「ザ・キープ」(1983年/マイケル・マン監督)
いきなり話が横っ飛びしますが、冒頭、ドイツ軍が乗ってくるトラックが素晴らしい。
キャタビラ走行の牽引車Sd Kfz 10。
1tの牽引能力があり、2名の乗員の他、6名分の兵員用座席を備えています。いやあ、かっちょいい(写真2枚目は1/72プラモデルの箱絵)。
ルーマニアの寒村、霧、曇天、城砦、ナチとSd Kfz 10、そして邪悪なる意思の覚醒。お膳立ては完璧です。
夜な夜な兵士を襲う謎の霧。不自然極まりない状態で発見される死体。
一方、ギリシャからKEEPを目指す謎の男。封印されし者と復活を阻止せんとする者。
“雰囲気ばかりでお話はスカスカだ”という批判もありますが(そしてその通りだと思いますが)、これだけ雰囲気があればそれだけでいいじゃないですか。
マイケル・マンらしく、ビジュアルは力が入りまくり。しかし、ビデオテープでは全く以って再現出来ません。
DVDでも無理。BDの画質で初めて良さが分る作品だと思います。
実は2004年にパラマウントからDVDリリースの計画があったそうです。頓挫した理由は二つ。
・サントラを担当したタンジェリン・ドリームの版権が押さえられなかった。
・マイケル・マン本人が「嫌だ」と言った。
※出典はIMDbのTrivia(http://www.imdb.com/title/tt0085780/trivia?ref_=tt_trv_trv)。
VHSのランニング表記は98分ですが、マイケル・マンのオリジナル・カットは210分だそうです。
つまり、マイケル・マンがソフト化に難色を示している理由は、「俺の映画を勝手に半分以下に切り刻みやがって! ふざけるな、この野郎!」という事なのではないかと思います。
だったら、オリジナル全長版で出せよ…(ついでにフリードキン版の「恐怖の報酬」もね)。
御願いします、パラマウント ホームエンタテインメント ジャパン(さん)!