デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

【跡目から世継ぎへ。現代版柳生一族の陰謀】覇王Ⅱ 凶血の系譜【清涼剤はブラザー2世】

世襲制を貫いて来た日本最古の博徒内藤新宿一家」。

その十二代目総長・鷲尾軍司(小沢仁志)は、新宿を外敵から護るための親睦団体「在京四社会」を発起しましたが、ここに関西流れの松浪組が介入してバランス崩壊。

牙を剥いた松浪組は、鷲尾軍司を的にかけて内藤新宿一家はてっぺんを失うことに。

跡目を継げるのは鷲尾の血統のみ。しかし、その資格を有する鷲尾大河は未だ小学生(しかも小心)。

大河を正当な後継者として十三代目に据えるか、舎弟頭・金丸友記(加藤雅也)を総長代行として臨時体制を敷くか。

大勢は金丸につきましたが、大河こそ十三代目と考える舎弟頭補佐・土岐零時(山口祥行)は大河を連れて失踪。

零時に勝機は…?

「覇王Ⅱ 凶の系譜」(2016年/小沢和義監督)

★1作目のおさらいはこちらから。

 

前回、全身火傷包帯ぐるぐるという衝撃の登場を果たした謎のヒットマン小沢和義)の出自が明らかに。

彼こそが内藤新宿一家の正当な後継者、十一代目鷲尾稀龍の血を引く男。

鷲尾軍司は子宝に恵まれなかった十一代目が取った養子でした。

その後に妻(4人目)が授かったのが嫡男・清春

十一代目が「後継者は力で決める」と二人を(真剣で)戦わせ(創生王の後継に指名されたブラックサンとシャドームーンみたいなものですね)た結果、少年・軍司は弟を(勢い余って母・父も)斬殺。庭に穴掘って灯油撒いて火葬。


この時、間一髪、清春を救い出したのが、親友であった金丸。そして35年。

『奴は生きている。十二代目になった軍司に気づかれれば口封じのため真っ先に殺される。だから清春は時を待った…35年だ!

十二代目を鷲尾清春でやり直す。それが金丸友記の大義


ここでこのお話の骨子が単なるやくざ社会の跡目問題ではなく、武家社会における世継ぎ問題であることが明らかになりました。

さながら、鷲尾清春徳川家光、金丸友記を柳生但馬守に見立てた柳生一族の陰謀といった塩梅(土岐零時が柳生十兵衛という役回りでしょうか)。

で、本作から加わった新キャラが、九州から流れて来た九州田平(タビラ)会の陣内尚之(小柳心)。


良い感じに殺伐さを削いでくれる清涼剤的存在(アクション映画に於ける「巻き込まれ型三枚目」)。

初めてなのに懐かしいこの親しみはなんじゃらほいと思ったらブラザー・トムご子息でした(小柳性で気づけよって話ではありますが)。


「Ⅲ」も続投のようなので、活躍に期待します。

 

★ご参考(世継ぎ問題3部作)

 

 

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★本日5月18日はリチャード・ブルックス監督(1912~1992)の誕生日。

今一つ演出にキレがない人、という印象が強かったりするのですが、本日は役者の顔だけでお腹一杯になるこちらを。