魔物(正確にはサイコキラーズの魂が憑依したアニマトロニクス軍団)相手にニコラス・ケイジが無双する。
それだけの作品なのですが、ニコラスのキャラが謎過ぎて癖になります。
別邦題つけるなら「ニコラス・ケイジvsアーミー・オブ・ダークネス/沈黙の働き方改革」って感じでしょうか。
「ウィリーズ・ワンダーランド」(2021年/ケヴィン・ルイス監督)
どこぞの田舎道を愛車カマロで景気よくかっ飛ばしていたら、道に仕掛けられた車止め(「ヒルズ・ハブ・アイズ」でも使われたトラップね)に引っかかってタイヤがお釈迦。
偶然通りかかったトラックに助けられて近くの村へ。
修理は出来るよ。なんやかや1,000$かな。おっとカードは使えないんだ。ATMも故障でね。現金のみ。持ち合わせないか。困ったな。じゃ働いて払うってのはどうだ?
近所に閉鎖中のテーマパークがあってね。近々再開予定なんだが、ここを一晩掛けて掃除してくれたら修理代チャラでいいよ。
この施設がウィリーズ・ワンダーランド。動物のアニマトロニクスが子供相手に愛嬌振りまいて誕生祝いとかしてくれる「わたしの町のセサミストリート」みたいな所。
あからさまに怪しいお誘い。案の定、施設内は殺人マシンが獲物求めて闊歩する無法地帯。普通なら「何だこれは」「騙しやがったな」「ふざけやがって」と騒ぎつつサバイバルしながら脱出ルートを探す展開になりそうなものですが、この世の不条理を前にしてニコラス・ケイジ一歩も引かず。
- まず全編通して一言も喋らない。
- 化け物が徘徊しているのに何よりも掃除を優先する。
- で、掃除よりも優先するのが休憩。たとえ戦闘中であっても休憩と決めた時間になると作業放棄して休憩。エナジードリンク飲んでピンボールマシーンに興じて一息ついたら戦闘(もしくは掃除)再開(働き方改革だ!)。
戦闘のトドメは相手の口に手を突っ込んで脊髄(?)引きずり出すプレデター流。
労働の後のエナジードリンクは最高だぜ。
ボコった残骸をビニール袋に詰めて、返り血(返り油)浴びて汚れたTシャツを新品(従業員用に在庫が一杯ある)に着替えてラウンド終了。
掃除→休憩(都度エナジードリンク1缶)→戦闘→着替え→掃除…これをただひたすら黙々と。
受けた仕事はきちんとこなす。
一応、施設が二度に渡って閉鎖された経緯とか、街と施設との密約とか、施設を破壊しようとしている若者グループとか枝葉の話はあるですが、兎に角ニコラスの剛腕無双ぶりが激しすぎて他の事に神経が行きません。
いかにも80年代(施設の開業は96年という設定ですが)な挿入歌「ウィリーズ・ワンダーランド」に乗って軽快なダンス(即興だそうです)を披露しつつ、ピンボールマシーンに興じるニコラス(役名無し。クレジットはThe Janitor/掃除人)。
何故こんなに強いのか。
冒頭、カマロのルームミラーに軍のIDプレートがぶら下がっています。
どうやら「コン・エアー」でニコラスが演じた米陸軍レンジャーのキャメロン・ポーと同一人物であることを仄めかしているようなのですが…。
いやそれにしてもあの状況でこの対応はちと異常。
前年に撮った「アースフォール JIU JITSU」で暴れ足りなかったので、その憂さ晴らしってのが正解のような気がします。
★多分ニコラスが思っていたのとは違う出来になった「アースフォール JIU JUTSU」
★魔物に生贄というお話にはこんなのもありました。
本作のエンディング曲はレーナ―ド・スキナードの「フリー・バード」。「フリー・バード」と言えばまずはこれ。
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★本日7月15日は山本薩夫監督(1910~1983)の誕生日。
「金環蝕」「不毛地帯」など≪社会派≫の巨匠でしたが、個人的お気に入りはきっちりエンタメしていたこちら。