デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

どちらかが死体になるまで手を握りあうこともできない似た物同士。 ヒート

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どこでどのように出会うのか。

犯罪チームのリーダー、ニール(ロバート・デ・ニーロ)とLAPDの刑事ビンセント(アル・パチーノ)。まさかあんな形で顔を合わせるとは。

「ヒート」(1995年/マイケル・マン監督)

ビンセントがニールの尾行を放棄して声をかけます。「コーヒーでもどうだ?」と。

ぐわあ、その手があったか。

混み合ったコーヒー・ショップのテーブルを挟んで向かい合う二人…絵になるなあ。

互いに「仕事好き」のために普通の家庭が築けない事、「その時」が来たら躊躇無く互いを撃ち殺す事を確認して別れます。

DVD特典のメイキングによると、デ・ニーロがこの役を引き受けたのは、このシーンが気に入ったからだとか。

また、このシーンのみ、デ・ニーロの発案でリハーサル無しだったそうです。

「銃撃のシンフォニー」と呼ばれる市街戦がやたら有名ですが、犯罪者と刑事の私生活を丁寧に描いた人間ドラマとして秀逸だと思います。

どちらかが死体になるまで手を握りあうこともできない似た物同士。切ないなあ。