『人生? そんなものは無い! あるのは闇だ! 分かるか! 闇だけだ!』
見えない眼に力が宿っている・・・凄ぇなパチーノ。
「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」
(1992年/マーティン・ブレスト監督)
光りを失った偏屈な退役軍人フランク(アル・パチーノ)の世話をすることになった苦学生チャーリー(クリス・オドネル)。
チャーリーは学友(校長に悪戯をした犯人)の名前をゲロるかどうか(チクればハーバード推薦、庇えば退学)で悩み、フランクは自らの人生に幕を引こうとしていた・・。
ガサツさと繊細さ、父性と無邪気さが綯交ぜになったパチーノが素晴らしすぎ。
パチーノの説教、男の訓辞と言えば99年の「エニイ・ギブン・サンデー」がありますが、味わい深さと威風堂々さに於いて「セント~」には敵いません。
キービジュアルになっているタンゴのシーンは間違いなく名場面ですが、相手のお姉ちゃん(ガブリエル・アンウォー)がここだけのゲストで以後のストーリーにビタ一文絡まないのはちょっと拍子抜け。
フィリップ・シーモア・ホフマンが高校生(!)。なんか笑えます(若いなあ。当然だけど)。
しかしアメリカ人は「演説」が好きですねえ・・。アジテーションが文化として定着しているのでしょうか。
では最後に大好きなパチーノの台詞を。
『ジョン・ダニエルをずらっと並べろ』
(I want it wall to wall with John Daniels.)
『ジャック・ダニエルでは?』
(Don't you mean Jack Daniels?)
『俺は付き合いが長いからジョンでいいんだ』
(He may be Jack to you son,
but when you've known him as long as I have.)