デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

見せないで魅せる恐怖の詩学。 パラダイム

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「批評家たちは、この作品を“遊星からの物体X”と同じくらい憎んだ。今でもこの映画は物笑いのタネだ」ジョン・カーペンター

まったく批評家ってのはロクな事言わねえな。文句ある奴は特撮予算ゼロで絶対的悪(=サタン)の復活を描いてみろ。

パラダイム(1987年/ジョン・カーペンター監督)

廃墟となった教会の地下に封印された謎の液体。傍らに幾つもの言語で書かれ、時代と共に改竄されてきた預言書。

悪魔の復活を感じとった司祭(ドナルド・ブレザンス!)は量子力学の専門家(ヴィクター・ウォン!)に調査と悪魔復活阻止を依頼。

ヴィクター・ウォンが召集した専門家チームが教会に結集。やがて教会を包囲するように不気味なホームレスたちが。

まあ、四畳半SF的終末序曲なんですが、そこはカーペンター、無理矢理なロジックとセンスだけで雰囲気系オカルト・ホラーに仕上げています。

未来から「夢」の形で送信されてくる映像が堪らなく不気味でいい感じ。

ホームレスのリーダーがアリス・クーパー 研究員が串刺しになるシーンは、彼がステージで使っている装置を持ち込んで撮影したんだとか(特撮も手弁当だ!)。

物質に対する反物質という位置づけで善(=神)に対する絶対悪(=サタン)を描いてますが、単に二元論の拡大投影って単純解釈じゃ駄目なんすかね(素粒子がぁとか言われても文系で煮締めたあたしの頭じゃちょっと・・)。

鏡の使い方とか巧いなぁ。見せないで魅せるカーペンター節全開です。