デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

安心安全。 死霊館 エンフィールド事件

f:id:zombieito:20200601131354j:plain

ポルターガイストは“騒々しい幽霊”と訳されるだけあって、力業の物理攻撃が実に映画的で絵になる怪奇現象です。

必然的に鎮める側も悪魔祓い的剛腕を駆使することになるので、エンタメ感もUP。

それだけだと安っぽくなってしまうので、ここに家族愛と夫婦愛を散りばめて「ホラーじゃないよ、ドラマだよ」感も醸成。

全方位気配り体制。

死霊館 エンフィールド事件」

(2016年/ジェームズ・ワン監督)


冒頭いきなり「悪魔の棲む家(アミティヴィル・ホラー)」。メジャーな事件をアバンで消費。大盤振る舞いです。

しかもここでの降霊術中に尼僧姿の悪魔と遭遇、同時に夫が死ぬ予知夢まで。

f:id:zombieito:20200601131603j:plain


前振り&掴みはOK。

メインとなる事件はタイトルにある通りエンフィールド事件。

1977年8月から英国ミドルセックス州のエンフィールドで起きたポルターガイスト現象。

調査員による数か月間の記録だけで1500回の怪現象を記録、期間も2年2か月(1980年の再発含まず)に渡る長期かつ大量のポルターガイスト現象です。

災厄に見舞われたのは旦那の浮気が原因で離婚し、子供4人を女手ひとつで育てねばならなくなったのに養育費が3ヵ月も滞納しているホジソン一家(実名はハーパー一家)。

怪異の中心にいる(霊に魅入られた)のは二女ジャネット。

f:id:zombieito:20200601131652j:plain

演技のお手本はリーガン先生?


舞台が英国に映った途端、♪London Calling! 一瞬映るロンドンの街並み。後方の映画館では「エクソシスト2(EXORCIST II: THE HERETIC/1977)」を上映中。

f:id:zombieito:20200601131745j:plain


この手のお話だと、怪異が子供の周辺でのみ起こり、なかなか大人に信じてもらえないという展開になりがちですが、ここの霊はサービス精神が旺盛で出し惜しみがありません。

親は勿論、警察がいる場面でも景気よく椅子やタンスを動かしてくれます。

警察があっさり「警察の仕事ではありません」と逃げ帰るのが笑えます。

バトンは警察から教会へ。教会は証拠無しには動けないので、調査員としてウォーレン夫妻を英国に派遣。

霊の正体をミスリードしつつラスボス、悪魔ヴァラクへ。

エロ無し、グロ無し、流血無し(ロレイン・ウォーレンが鼻血出すシーンはある)、コケ脅し控え目。

CGに頼らない特撮で心霊現象を表現しているのは◎。

f:id:zombieito:20200601131851j:plain

天井に張り付くジャネットと特撮ネタバレ。


半面、“へそ曲がり男”とかのキャラは興冷めでした(フルCGかと思ったらクリーチャー専門の役者さんが演じておりました)。

f:id:zombieito:20200601131928j:plain

へそ曲がり男と演じたハビエル・ボテット(「MAMA」のママもこの人)。


で、最後は家族愛と夫婦愛で〆。

デートに良し、ファミリーに良し、安心安全人畜無害なエンタメホラーです(☜遠回しに「刺さらねー!」と言っています)。


★ご参考
 

 

 

 

mandarabatake.hatenablog.com

 

 

 

f:id:zombieito:20200506102907g:plainランキング投票です。よろしければワンポチを。