キャラ造型がしっかりしていれば(それがたとえモブであっても、そしてストーリーがありていであっても)、観た人の印象に強く焼き付けることができる、という見本。
「ダークウォッチ/戦慄の館」
(2014年/ヴィクター・サルヴァ監督)
「ジーパーズ・クリーパーズ」「ヒューマン・キャッチャー」の監督の最新作です。
ニック(ルーク・クラインタンク)は、触れただけで相手の死に様ビジョン(悲惨なものに限る)が見えてしまう“デッド・ゾーン”な特殊能力保持者。
彼が8歳の時に心を病んでアサイラムに収監されていた母親(何とレスリー=アン・ダウン!)が火事で焼死。残された遺品の中にあった一枚の写真にニックの目は釘付け。
屋根裏に小さな丸窓がある一軒家。それは子供の頃から何度となく描いて来た絵と同じもの。建築を学んでいる現在も描き続けているイメージの中だけの家。
実在していたのか…。
遺品の中には、その家の権利書も。そこに行けば、母が口を閉ざして語らなかった父親の事が分かるかもしれない。
ニックは妊娠中の恋人イブと親友ライアンと共に家のある町、リバーズ・エンドまで車を走らせますが、家は20年前に町ごと大洪水で流され、消えてなくなっていました。
しかし、その家“虫の森”だけはまだどこかに存在しているらしいという噂が…。
偶然出合った測量技師3人組と共に流された下流を探したら…あった。無傷で。絞首刑用の大木に堰き止められて。
いつの間にか周りには、でっかい斧を持った浮浪者軍団が。
この斧軍団(アックス・メン?)が凄い! 前屈みになって足と斧を引きずるようにして走り、車に轢かれても平然と立ち上がり、距離が開くや正確無比な投げ斧を…。
浮浪者&障害者なビジュアルの軍団が斧を投げながら追いかけて来る…これは想像しただけでチビチビです。
「ダークウォッチ/戦慄の館」なんてタイトルは2日もすればスカッと忘れそうですが、この斧軍団の不気味さは深く心に残ります。
この家には邪悪な何かが封印されているようで、その復活を待つ者と阻む者が抗争を繰り広げている、という図式です。
「パラダイム」と同じ箱ですね(浮浪者に囲まれているという絵柄も一緒)。
終盤の展開やオチの付け方などお世辞も巧いとは言えませんが、斧軍団のおかげで印象深い一編にはなっています。