女房・子供に別れを告げて、家も店舗も焼き払い、失うものは何も無し。拳銃一丁腰に挿し、たった一人の殴りこみ。男カーンよどこへ行く(♪べべん)。
と弁士が唸りそうなクライマックス。そう、これは任侠映画です。
「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」
(1981年/マイケル・マン監督)
マイケル“スタイリッシュ”マン監督の劇場長編デビュー作。
フランク(ジェームズ・カーン)はしがない中古車センター経営者。しかし裏の顔は天才金庫破りグループのリーダー(相棒はジム・ベルーシ←デビュー作)。
次の仕事はちょいと危険な組織の依頼。一発稼いで足を洗って女房・子供と平穏暮らし・・をさせてくれる程、組織は甘くありませんでした。
日本人的金庫破りのイメージは“繊細な指仕事”。粗暴なソニー兄さんジェームズ・カーンのキャラとは合いませんが、同じ職人でも種類が違います。
ドリルど~ん、バーナーぼ~、ハンマーがこ~んで一丁上がり(笑)。ただ、この作業も金庫の構造・材質を熟知していないと出来ないので、高度な職人芸ではあります。
音楽はタンジェリン・ドリーム。景気のいいシンセをガンガン鳴らして、最期の最後に泣きのギター爆発。ハードボイルド気分満喫です。
にしても、カーンのカミさん演じたチューズデイ・ウェルドが、「フォーリング・ダウン」のロバート・デュバル(ソニー兄さんのステップ・ブラザーだ!)のデブった神経症奥さんとは・・。この時はデュバルもぶくぶくだったし。時の流れは恐ろしい。