ソニー・コルレオーネ、ジェームズ・カーンがお亡くなりになりました。
7月6日。死因非公開。82歳。
ジェームズ・カーンと言えば何は無くともソニー兄さんですが、存在感で選ぶならこれでしょう。
「ローラーボール」
(1975年/ノーマン・ジュイソン監督)
西暦2018年(既に過去だ!)、地上は6つの大企業に支配され、飢餓も環境汚染も人口増加も、戦争や犯罪すらも消えてなくなるユートピアになっておりました。
そんなぬるま湯の中、脳の皺伸び切った人類の闘争心の唯一のはけ口となったのが都市チームの対抗スポーツ「ローラーボール」。
円形のリンクにはじき出された鉄球を、バイクとローラースケートを使ったプレーヤーが奪って走ってゴールに投げ入れる、スマートボール×ローラーゲーム×バスケットボール×プロレスな感じのワイルドスポーツ。
その花形プレーヤー、ジョナサン・E(ジェームズ・カーン)は、支配者企業にとってちぃっと扱いづらい存在になっておりました。
『なぁジョナサン、ぼちぼち引退しちゃくれねぇか』
『嫌なこった』
なら仕方ない。試合中に死んでもらおう。
と言う訳で、ルール変更(反則自由)して刺客投入(虎の穴かよ!)。
近未来にワイルドな娯楽で民衆の目を政治から逸らすってのは「デスレース2000年」とか「バトルランナー」とかでもお馴染みですが、その設定に説得力がびた一文存在しないのもお馴染みの光景。
大衆の人気を博すことが、支配構造の妨げになる理由もよく分からないですし、おしなべて登場人物の行動原理が今ひとついやふたつみっつ分かりません。
が、しかし! いいじゃないですか、んな事ぁ。
原作にも詳細記載のない「ローラーボール」という架空のスポーツをリンクからルールからユニフォームからほぼゼロから作って、それこそ本当に都市対抗リーグができるんじゃないかってレベルで形にしてしまった事が重要なのですよ。
クライマックスは死屍累々。寂寥と索漠と寂寞に支配されたおよそ肉弾相打つスポーツ映画とは思えない賽の河原のようなリンクに巻き起こるジョナサンコール。
OPとEDに流れるバッハのトッカータとフーガニ短調が、近未来SFの誉れを上塗りしています。
間違いなくジェームズ・カーンの代表作です(断言)。
★曼荼羅畑ジェームズ・カーン出演作レビュー総括。
ご冥福をお祈りいたします。
★為政者に都合の悪い人間をスポーツやゲームの裏で消すと言えば…
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