原題BLOODY MAMAなので、限りなく直訳ですが、センスある邦題です。
「血まみれギャングママ」
(1970年/ロジャー・コーマン監督)
1930年代にアメリカ中をブイブイ言わせた強盗団ケイト・バーカー一家の顛末を綴る実録犯罪モノ。
実行犯は専ら4人の息子たちで、ケイト自身が犯罪に加担したという証拠はないそうですが、映画では完全な司令塔。自らもトミーガン構えて銀行強盗に乗り込むプレイング・マネージャー。
末っ子フレッドが刑務所でカマ掘られて仲良くなったケヴィン(ブルース・ダーン!)を指差し、「あんたが欲しい」と宣言して自室に持ち帰るワイルド母ちゃんです。
こんな役をシェリー・ウィンターズ(「ポセイドン・アドベンチャー」の水泳おばさんね)が演ろうとは。
次男ロイドはよく見りゃロバート・デ・ニーロじゃん。
言われなければ分からないくらい印象が薄いですが、この4年後にはドン・コルレオーネになっちゃうんですよねぇ・・。
リンドバーグやら大恐慌やらのニュースフィルム(←制作費ゼロ)を巧みに挿入して実録感を煽るあたり、流石コーマン、エコノミーな演出です。
「デビルズ・リジェクト」のマザー・ファイアフライはケイトを意識したキャラなんでしょうね。オープニングの警察による包囲&一斉射撃とか、本作クライマックスのFBI一斉射撃シーンまんまだし。
日本未公開ですが、70年代の幕開けに相応しい毒に満ちた佳作だと思います。
※参考:「デビルズ・リジェクト」→2008年6月12日