デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

本物じゃね?その犬。 スウィート・スウィートバック

イメージ 1
ラスト近く、川の中で息絶えている2匹の猟犬(一匹は眼を抉られている)。

なんか、もの凄ぉくリアルなんだけど・・(殺っちゃった?)。

「スウィート・スウィートバック

(1971年/メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ監督)

 

メルヴィンが製作・監督・原作・脚本・撮影・編集・音楽(with アース、ウィンド&ファイヤー)・主演を1人でこなした俺様映画。

冒頭で“白人社会に嫌気がさしたブラザー&シスターに捧ぐ”の文字。

黒人娼館で働く少年スウィートバック(演じるはメルヴィンの実の息子マリオ)が、娼婦に誘われ初体験とは思えぬグルーヴィな腰使いでプロをイカせた所でタイトル。

(このシーン、相手が子供ってのがマズイのかDVDは白いモヤに包まれているらしいのですが、VHSはスッキリクッキリでした)

続いてStarring THE BLACK COMMUNITY。正に挑戦。

お話は、ちょいとした成り行きで白人警官2名をボコボコ(意識不明の重体)にしちまったスウィートバック(メルヴィン)がただひたすら逃げる。それだけ。

追っ手を振り切り(猟犬を殺し)、国境を越え、大地の力で傷口を塞ぎ、荒地に湧き出す水で顔を洗い、尚歩みを止めぬ姿は神話的ですらあります(荒野を彷徨うキリストのようです)。

映画的文法とか作劇法なんて尺度を持ち出すと何だ、これは?になっちゃいます。

ブラック・スプロイテーション映画を観る時には独自の評価基準が必要です(多分、単位はスウィートバックでしょう)。

110番街交差点どうだった?」
「うーん、75スウィートバックかな」

最後は“いつか借りを返しに来るぞ!”という「丑三つの村」の“今にみておれでございますよ”に匹敵する捨て台詞を残して完。

変に起承転結があるドラマより遥かに心には残ります(←凄ぉく重要)。