ラスト近く、川の中で息絶えている2匹の猟犬(一匹は眼を抉られている)。
なんか、もの凄ぉくリアルなんだけど・・(殺っちゃった?)。
「スウィート・スウィートバック」
(1971年/メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ監督)
メルヴィンが製作・監督・原作・脚本・撮影・編集・音楽(with アース、ウィンド&ファイヤー)・主演を1人でこなした“俺様”映画。
冒頭で“白人社会に嫌気がさしたブラザー&シスターに捧ぐ”の文字。
黒人娼館で働く少年スウィートバック(演じるはメルヴィンの実の息子マリオ)が、娼婦に誘われ初体験とは思えぬグルーヴィな腰使いでプロをイカせた所でタイトル。
(このシーン、相手が子供ってのがマズイのかDVDは白いモヤに包まれているらしいのですが、VHSはスッキリクッキリでした)
続いて“Starring THE BLACK COMMUNITY”。正に挑戦。
お話は、ちょいとした成り行きで白人警官2名をボコボコ(意識不明の重体)にしちまったスウィートバック(メルヴィン)がただひたすら逃げる。それだけ。
追っ手を振り切り(猟犬を殺し)、国境を越え、大地の力で傷口を塞ぎ、荒地に湧き出す水で顔を洗い、尚歩みを止めぬ姿は神話的ですらあります(荒野を彷徨うキリストのようです)。
映画的文法とか作劇法なんて尺度を持ち出すと“何だ、これは?”になっちゃいます。
ブラック・スプロイテーション映画を観る時には独自の評価基準が必要です(多分、単位はスウィートバックでしょう)。
「110番街交差点どうだった?」
「うーん、75スウィートバックかな」
最後は“いつか借りを返しに来るぞ!”という「丑三つの村」の“今にみておれでございますよ”に匹敵する捨て台詞を残して完。
変に起承転結があるドラマより遥かに心には残ります(←凄ぉく重要)。