デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

ゾンビになってもタックル忘れず。 フェーズ7

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ウィルス蔓延でも核戦争勃発でも皆ゾンビ化でもいいのですが、この手のジャンルで一番観たくないのが、“生存者同士のどーでもいい痴話喧嘩”。

要するに“内輪揉め”。

話は一歩も前に進まず、取り巻く環境も変わらず、大してキャラが立っている訳でもない記号的登場人物が主導権争ってあーだこーだ・・。

どーだっていいんだよ、んな事ぁ・・。

「フェーズ7」(2008年/ダヴィド・モルレ監督)

原題は「MUTANTS」。人間を怪物化させる謎のウィルスが蔓延して世界終了。

救急救命士のソニアと救急車運転手のマルコは安全地帯を目指しますが、途中立ち寄ったガソリンスタンドでマルコが感染者の返り血浴びて人生終了フラグ確定。

キーマンになるかと思われた黒人女性軍人もここであっさり退場。いきなり登場人物二人のみという超緊縮財政へ。

諦めの悪いソニアは雪に閉ざされた巨大な建物(病院or学校)にマルコを運び込んで治療(実はソニアには免疫があるという意表を突く設定)。

前半は、マルコの感染の進行具合を仔細漏らさず腰を据えて描写。

後半は招かれざる客が乱入して「車のキーをよこせ!」「嫌!」というやりとりを様々な角度から活写。

最後の最後にどこに潜んでいたのか全く分からない大量の感染者がわらわらと湧いて出て、サバイバル突入、という手に汗握る構成になっています。

唯一、感心したのが怪物化した感染者のファイト・スタイル。

タックル→マウント・ポジション→顔面パンチという、バーリ・トゥードの基本を踏まえた戦い方で、やられた方が“マチェーテ・スリーパー”で落とす(?)という返しも絶妙。

面倒な説明を潔く割愛しているので、得心のいかないカット多数。予算が無いのは良く分かりますが、フランス人の生真面目さが裏目に出た“盛り上がりって何?”な演出が残念無念です。