永遠の15歳。 メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー
「(メタルは)ライフスタイルだ。“一瞬好きだったけど”とかメタルファンにはあり得ない。“あの夏はスレイヤーが好きだった”なんて、そんな奴はいないんだよ」
(ロブ・ゾンビ。写真2段目)
「育ったのはヴィクトリアBC。新婚さんと“もうすぐ死人”ばかりのカナダ西部の古風な街だ。平和を絵に描いたような街で僕はメタルと出会った」
(サム・ダン)
「メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー」(2005年/サム・ダン監督)
“何故、メタルは世間から蛇蝎の如く嫌われるのか”・・
筋金入りのメタルファンである監督が、メタルの聖地と偉人を訪ねながら“メタルとは何か”を探求するドキュメンタリーです。
まずは長年の論争の的、“最初のヘヴィ・メタル・バンドは何か?”からスタート。
Heavy Metalという言葉を使ったのは、ステッペン・ウルフやブルー・オイスター・カルトかもしれませんが、音で表現した人は?
本作ではトニー・アイオミ(写真上)に辿り着きますが、これは私も大賛同。
嘘だと思ったらBlack Sabbathの2ndアルバム「PARANOID」(写真下)の1曲目“War Pigs”を大音量で聴いてみてください。これぞ正に重金属。
オカルティックな題材を取り上げたのも彼らが最初でしょう(これはベースのギーザー・バトラーの功績)。いずれにしてもブラック・サバスの「HM始祖」の座は揺るぎません。
この後、音楽検閲組織PMRC(ペアレンツ・ミュージック・リソース・センター)の常軌を逸した弾圧(メタルは青少年を自殺に追いやる等)を、関係者のコメントを交えつつ糾弾していくのですが、アーチスト達の何と知的な事。
アリス・クーパー、ロブ・ゾンビ、ディー・スナイダー、ロニー・ジェームズ・ディオ・・皆知性が迸っています。あんな格好したスリップ・ノットですら話は実に理路整然。
残念だったのは、PMRC最大の犠牲者である“メタル・ゴッド”ジューダス・プリーストと、“メタル馬鹿一代”マノウォーのインタビューがなかった事。
ロバート・ハルフォードのコメントと、ジョーイ・ディマイオの「この負け犬がぁ!」という罵倒は是非聴きたかったです。
ドイツではヴァッカン・オープン・エアで行われたメタルの祭典を、ノルウェーでは宗教戦争にまで発展しているブラック・メタル・ムーヴメントを取材。
「メタルファンの心には永遠の15歳がいる」(メタルファン)
君の心にも永遠の15歳はいるか? 俺には…いる…多分。
※参考:「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」→2010年4月26日