デストピア経典~曼荼羅畑でつかまえて(三代目)

B級カルトな特殊映画、ホラーにアニメに格闘技、酒にメタルにフィギュアに銃。日頃世間ではあまり顧みられる事のないあれやこれやを過剰なる偏愛を以てご紹介いたします。

特一点豪華主義。 未来世界

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ウルトラセブンの最終回直前に「ダン対セブンの決闘」「あなたはだあれ?」というエピソードがあります。

前者は、同じ能力を有するコピー対オリジナルの対決。後者は、マンモス団地が建物ごと入れ替わり、住人が宇宙人にすり替わっていく、というもの。

丁度この2話を足して割った感じなのが、

「未来世界」(1976年/リチャード・T・ヘフロン監督)

タイトルからは分かりにくいですが、「ウェスト・ワールド」の地続きの続編です。

ロボットが暴走し、大量の死傷者を出してしまったアミューズメント・パーク「デロス・ランド」。

2年掛けてシステム刷新、再オープンしましたが客足はイマイチ。そこで、集客アップの販促企画として、各界重鎮とマスコミ各社を無料招待。

マスコミの中には2年前の惨劇を記事にしたチャック(ピーター・フォンダ)と元カノ、トレイシー(ブライス・ダナー)の姿も。

チャックに特ダネを提供すると接近してきた男は、待ち合わせ場所に瀕死で現れ、“デロス”と言い残して死亡。

デロスに一体何が…ってのが前半のプロットなのですが、マイケル・クライトンが原作・脚本・監督を手がけた前作に比べるとかなりチープ(金の問題じゃなくてセンスの問題なんだと思います)。

事故を起こした「西部世界」は閉鎖されたままなので、「中世世界」や「未来世界」が主な舞台。

園内施設とか実に微妙な出来。ただし、未来世界のロケット・ポッドだけは秀逸。

直径何メートルあるんだよ?なハッチと実物大のロケット発射台(写真上)。ここに賭けた!な特一点豪華主義。恐らく、これ作ったところで予算が底を突いたんじゃないかと思います。

デロスの狙いは来場者をコピーロボットとすり替えて世界を意のままに操ろうという、イマイチその目的に至った動機が良く分からないものなのですが、行動も実に意味不明。

パーソナル・データを採取し終わったオリジナルをコピーが殺しに来るのですが、データ採取終了時に殺っちまえば簡単なのに何故そんな面倒な事を?(勿論、そうしないと話が進みませんし、なによりコピー対オリジナルという見せ場が作れないからですが…)

トレイシーは射撃の腕が立つので、コピーも凄腕(故に一撃で勝負が決まる)なのに対して、チャックは“象のケツにも当てられない”腕前なので、コピーもヘッポコピー(乱射戦になってもお互い無傷)というのは面白い設定でした。

数少ない生身の従業員と生活している出来損ないの(払い下げ)ロボット、クラーク(・ケント)は愛嬌と哀愁を併せ持ったナイス・キャラ(写真2段目)。

おいおい、本当にそれでいいのかよ?なハッピー・エンドのいい加減さも含めて、愛すべき70年代B級SFです。

ところで、ユル・ブリンナー(前作と同じガンスリンガー役でゲスト出演)の使い方、もうちょっと何とかならなかったのか?

※参考:リチャード・T・ヘフロン監督と言えば…、

「なぜDVDが出ない? 探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!」→2008年8月23日
ローレン・ランドン万歳! 探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!」→2010年9月11日