『俺は、俺は…、失敗作なんかじゃない!』
敗走を続ける日本軍の起死回生の切り札は金田博士の鉄人計画だけではありませんでした。
ゼロ戦による“神風”以外にも、桜花、回天、伏龍など多様な特攻形態があったように、軍は様々な反撃の可能性を模索していました。
不乱拳博士の「人造人間(第二鉄人)計画」、その弟子たちによる「人工知能計画」、そして、ドラグネット博士が推進した「超人間計画」。
超人間とは肉体の一部を機械化したサイボーグの事。兵器として開発された事も含めて「009」の元ネタと言えるでしょう。
しかし試作品ケリーは開発途上で死亡。失敗作として埋葬されました。が…。
「鉄人28号/超人間ケリーの最後」(山口美浩演出)
戦後の冷戦構造は舞台を宇宙開発に移行(ライトスタッフですな)。
日本では敷島博士が、鉄人を東京に飛ばしてきた移送カプセルをロケットに改造。ドラグネット博士の開発した月面作業用ロボット、ギルバートを乗せて打ち上げる壮大な計画が。
しかし、その背後に謎の男の影。
『まだだ…まだ死ねない。俺には、俺にはやり残した事が!』
彼はケリー。宇宙活動を可能にした超人間の失敗作。
戦火で国土を焼かれ、両親を失ったケリーは弟ジョンソンと誓いました。もう戦争は嫌だ。あの星の輝く世界には争いが無いに違いない。戦争の無い世界へ、宇宙へ行こう。
人間大でありながら鉄人を振り回す怪物パワーを発揮する超人間。しかし、その疲弊・軋轢も凄まじく、“短命”という十字架が。
『俺は…俺はただ…行きたかったんだ!』
心臓が断末魔の悲鳴をあげる。それでも、
『行くんだ! 俺は行くんだ! 俺は…俺は…頼む、もう少し』
原作とは異なるオリジナル展開ですが、男泣き必至。
本作DVDには映像特典として、実写版(劇場版)鉄人28号の予告(特報)が。
お話は別でも興行的(製作的)な繋がりはあったって事か…。
なあ、富樫森、くどいようだが、本当にこのアニメ知った上で、アレを撮ったのか?