そのタイトルの類似性から「武器人間」のおまけみたいな扱いになっていますが、絶対にこっちの方が面白いです。
何よりちゃんとした“映画”になっています。低予算をアイデアでカバーしたB級の鑑。
「兵器人間」(2013年/ライアン・ベルガルト監督)
アラン君は不幸のズンドコ。
失職×家賃滞納×プロポーズ失敗のグランドスラム。がっくり肩を落とした帰り道、何者かに拉致られ、気が付いたら怪しげな研究所。
現れた老科学者はアランの右目をくり抜くとベッドに横たわる大男に移植。「人造人間の完成だ!」
と、ここまでは良くある話(…ですよね?)。
人造人間の覚醒レバーをアラン君がうっかりON。むっくりと起き上がる人造人間。その瞬間、研究所に雷が。
落雷1発であらゆる状況設定を可能にしてしまうのがこの手の映画のお約束。
何と多次元宇宙の回路が開き、並行世界に存在している無数の人造人間が次々出現。更にアランと博士と助手の少年イゴールを巻き込んでタイムスリップ。
着いた先は…南北戦争の真っただ中!
北軍vs南軍vsフランケン軍団!
アランを助けてくれた北軍の兵士と従軍看護婦はどうやらアランの御先祖様らしい。
フランケン軍団(という呼称が正確ではない、という事は助手の少年が軽く突っ込んでいます)を操り南軍と戦いつつ、恋愛下手なご先祖様のキューピットになるアラン。
お気づきかと思いますが、基本骨子は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」です。
クライマックスはリンカーン大統領暗殺計画。
歴史は変えられるのか、そしてアランとイゴール(博士は老齢が時間旅行に耐え切れず早々に退場)は未来に戻れるのか。
こういう歴史パラドックスの大風呂敷は好物なので、最後まで楽しく観る事ができました。
ここだけの話、作品の根底に白人至上主義が垣間見える「BTTF」(と「フォレスト・ガンプ」)が私はあまり好きではありません。
イゴール少年役のクリスチャン・ベルガルトが実にいい感じでした。
因みにタイトルの兵器人間とは、切り落とされた片腕の代わりに“プラズマ・ランチャー”(←イゴール少年が作った。何気に天才)を装着したアランの御先祖様の事です。