製作6年。全7話。339分を費やして尚未完。
高品質と引き換えの大暴走。横山光輝キャラ祭り。
「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」(1992年-1998年/今川泰宏監督)
シズマ博士が発明した完全リサイクル、完全無公害のエネルギー源、シズマドライブにより、未曾有の繁栄を約束された近未来。
シズマドライブは、電気、ガソリンからライターまで、あらゆる動力を代替。旧来のエネルギーはほぼ全てが廃棄され、新しい時代へと…。
人々は忘れようとしていました。シズマドライブ開発過程に起きた大人災「バシュタールの惨劇」を。その引き金を引いたフランケン・フォン・フォークラー博士の名前と共に。
『思い出させてやる! すべての美しい夜が誰によってもたらされたのかを!』
エネルギー中和現象により、あらゆるシズマドライブを沈黙させる大怪球フォークラーが、地表から光を奪い、ライフラインを断絶。このままでは地球は石器時代に逆戻り。
世界征服を企むBF団の攻勢になす術も無い国際警察機構。
しかし、唯一、草間大作少年が操縦する巨大メカ、ジャイアント・ロボだけはフォークラーの影響を受けずに稼動していました。何故?
『…そうです。ロボの動力は原子力です』
過去の忌むべき遺産として葬ったはずの原子力が活きていた…。
「シズマドライブを停めろ!」「BF団と戦え!」
互いに父の遺志を引き継いだ子供たち。父との約束、尊敬と憧憬。残酷な遺産。
同じ遺産を引き継いだTV版「鉄人28号」の金田正太郎が痛々しいほどの孤独に苛まれていたのに対し、草間大作には仲間がいます。その信頼と庇護がドラマに温かみを与えています。
もうひとつ、本作のお楽しみは“横山光輝キャラ祭り”。
ざっと見渡しただけでも、バビル2世、赤影、魔法使いサリー。銀鈴は何の必然性も無く“ケリー・コスプレ”で登場。村雨健二は鉄人と本作を股に掛けた大活躍。しかも全員特殊能力保持者(ロボット戦よりもサイキック・バトルの方が見せ場としては多い)。
突っ込みどころは満載ですし、何より未完のストレスが残る画竜点睛な作りではあるのですが、作り手の総花的大暴走を愉しめば良いのではないかと思います。
時にフランケン・フォン・フォークラー博士の息子エマニュエルの若いときの顔ってどこからどう見ても面堂終太郎なのですが、あれはわざとなのでしょうか。